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第45話 偽憶

 『あなたはだあれ?』


私は……


闇の中から声が響いてくる。冷たい風がまだ幼い私の髪をそっと撫でた。私の心臓は緊張で早鐘を打つ。


『お願いです、私の妹を助けてください』


私は切実だった。妹を思うそのはやる気持ちで心臓が激しく脈打つ。私は目を細め、その声の主を探したが、闇は何も見せてくれなかった。


条件がある。


私は声こそ静かだが、決意に満ちていた。

風が一瞬止まり、緊張感が辺りに広がる。


『条件って何ですか?』


私は問いかけた。声の震えがその不安を物語っていた。闇の中で、私は未来を思い描いた。妹の無事を、そして自分自身の運命を。


東西に伸びる巨大なエルパ大陸。その大陸の西側部分はエルパ大陸と呼ばれ、南にあるミテミア海に面した一番東の半島には、遥か昔、海上貿易で栄えた小さな都市国家があった。



早朝、朝日が差し込む静かな島に、異国の船がやってきた。平和な日々を送っていた島の住民たちは、突然の出来事にパニックに陥る。

侵入してきた者たちは、容赦なく島民を襲い、文化を破壊していった。

 その中でも、私の家は特にひどい目にあった。両親を亡くし、妹のアペリーと二人で暮らしていた私の家は、略奪され、家は荒らされ、家族の思い出が詰まった品々はことごとく壊された。


「ここをどけ!」

侵入者たちの言葉に、私は必死に抵抗した。しかし、数に圧倒され、アペリーは人質にされてしまった。

「お姉ちゃん!」

「こら、暴れるな。大人しくしろ!!」

「殺せ……」


「アペリー!」

私は絶望の淵に立たされたが、

諦められるはずはなかった。

私は必死に抵抗し、一人の侵入者を倒した。

しかし、その隙にアペリーは……。

「きゃあああああ!!!」


「アペリー!」

血の噴水が部屋中を朱一色に染めた。

私の悲痛な叫び声も虚しく、アペリーはナイフで喉を一突きにされ、いとも簡単に命を奪われてしまった。


その時、不思議なことが起きた。


どこからともなく、奇妙な音が響き渡る。

そして、現れたのは見慣れない服装をした大人の男だった。


「妹さんを助けましょう」

男は言った。


「但し、君が、島を出て僕と旅をするという条件で」

男は、条件として私に取引を持ちかけた。


「どうして私が?」

私は戸惑うが、妹のアペリーを救うためならと男との取引に応じた。


「取引、成立だね」

すると男は、不思議な力で時間を巻き戻した。


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