「ボクが、ハムザとアマザの子孫?」
オイロスは目を丸くして、信じられない様子だった。
「そんなの、まさか……」
「驚くのも無理はないです。
だってあなたは二人の直系の子孫なのですから。
この役目は、あなた達にしか務まりません。
だから、お願いできますか?」
マザー様は、二人に深々と頭を下げた。
「わかったよ。……小僧、早く行こうぜ!」
「お姉ちゃん、待ってよ!」
「最後に一つだけ……TPOは考えてね」
「わあった《わかった》、わあった」
「それじゃ、後はよろしくお願いしますね。
如来様。どうか二人の道中をお守りください……」
村に戻った蓮姫たちは、すぐにおばあちゃんを探した。
「ババア元気か?」
蓮姫は、老婆の部屋に駆け込んだ。
老婆は、ベッドに横たわっていた。
「あら、二人とも、もう戻ってきたのかい?……あたしはもう、この年だからね」
「おばあちゃん、マザー様の加護できっと元気になりますよ!」
「ありがとね、オイロス」
「おばあちゃん……」
「小僧、早くアマザと話せ!」
「そうだったね。えーっと、この玉を……」
オイロスは、老婆に玉を投げることに躊躇し、先の一歩が踏み出せずにいた。
「どうしてだよ!?」
蓮姫は苛立ちを隠せない。
「マザーが言ってただろ?これは時間を遡る玉だって。ババアには当たらないんだから!」
「でも……」
ムッ!!
「もう、わかったよ!」
オイロスは蓮姫の鋭い目力にとうとう観念したのか、深呼吸をして、玉を投げた。すると。
ほんの一瞬眩い閃光が走り、
目の前には見知らぬ少女が立っていた。
「あ、あなたたちは誰?」
少女は、不思議そうに二人を見た。
「私は蓮姫。こいつは、ちょっとお調子者の弟だよ」
「ボクはオイロス!」
少年は蓮姫にツッコミ終えると、
少女に得意げに自己紹介をした。
「フフフ。面白い二人ね。……ところで、マザー様から聞いたってことは、私に何か用があるんでしょう?」
「ああ、そうなんだ。アマザ、ハムザの居場所を教えてくれないか?」
「ハムザの居場所は……青い岩の隙間を探せば見つかると思うわ」
「青い岩の隙間?」
蓮姫は首をかしげた。
「私たちはずっと移動しながら暮らしているの。ハムザは今、新しい住処を探しに行っているのよ」
「わかった。じゃあ、一緒に探しに行こう」
「あ、はい」
こうして、三人はハムザを探す旅へと出発した。
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↑【登場人物】
•
•オイロス
•マザー様
•おババ様
•アマザ