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第10話 地下660kmの墓


「ボクが、ハムザとアマザの子孫?」

オイロスは目を丸くして、信じられない様子だった。

「そんなの、まさか……」


「驚くのも無理はないです。

だってあなたは二人の直系の子孫なのですから。

この役目は、あなた達にしか務まりません。

だから、お願いできますか?」

マザー様は、二人に深々と頭を下げた。


「わかったよ。……小僧、早く行こうぜ!」


「お姉ちゃん、待ってよ!」


「最後に一つだけ……TPOは考えてね」


「わあった《わかった》、わあった」


「それじゃ、後はよろしくお願いしますね。

如来様。どうか二人の道中をお守りください……」



村に戻った蓮姫たちは、すぐにおばあちゃんを探した。

「ババア元気か?」

蓮姫は、老婆の部屋に駆け込んだ。


老婆は、ベッドに横たわっていた。

「あら、二人とも、もう戻ってきたのかい?……あたしはもう、この年だからね」


「おばあちゃん、マザー様の加護できっと元気になりますよ!」


「ありがとね、オイロス」


「おばあちゃん……」


「小僧、早くアマザと話せ!」


「そうだったね。えーっと、この玉を……」

オイロスは、老婆に玉を投げることに躊躇し、先の一歩が踏み出せずにいた。


「どうしてだよ!?」

蓮姫は苛立ちを隠せない。

「マザーが言ってただろ?これは時間を遡る玉だって。ババアには当たらないんだから!」


「でも……」


ムッ!!


「もう、わかったよ!」

オイロスは蓮姫の鋭い目力にとうとう観念したのか、深呼吸をして、玉を投げた。すると。



ほんの一瞬眩い閃光が走り、

目の前には見知らぬ少女が立っていた。


「あ、あなたたちは誰?」

少女は、不思議そうに二人を見た。


「私は蓮姫。こいつは、ちょっとお調子者の弟だよ」


「ボクはオイロス!」

少年は蓮姫にツッコミ終えると、

少女に得意げに自己紹介をした。


「フフフ。面白い二人ね。……ところで、マザー様から聞いたってことは、私に何か用があるんでしょう?」


「ああ、そうなんだ。アマザ、ハムザの居場所を教えてくれないか?」


「ハムザの居場所は……青い岩の隙間を探せば見つかると思うわ」


「青い岩の隙間?」

蓮姫は首をかしげた。


「私たちはずっと移動しながら暮らしているの。ハムザは今、新しい住処を探しに行っているのよ」


「わかった。じゃあ、一緒に探しに行こう」


「あ、はい」


こうして、三人はハムザを探す旅へと出発した。



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↑【登場人物】

蓮姫カムラ

•オイロス

•マザー様

•おババ様

•アマザ

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