一 劫《こう》年の 蓮姫《カムラ》【1】~40億年いのちのスゴロク
憮然野郎
異世界ファンタジー冒険・バトル
2024年12月01日
公開日
63,195文字
連載中
不老不死の少女40億年遡る壮大な一人旅
17歳のカムラは大切な母にひどい言葉を言い後悔していました。そんな中彼女は不思議な薬を飲みます。それは永遠に若くいられるけど40億年遡り永遠に生きる呪いの薬でした。
カムラは気づいたら40億年前の地球にいました。そこには人間どころか動物さえまだいません。
カムラは母親、そして些細なすれ違いから疎遠になった大切な親友の少女の事を片時も忘れたことはありませんでした。
カムラは神様からの罰でこんな場所に放り出されたのかもしれません。
カムラはサイコロを振りながら、いろんな時代を旅することになりました。恐竜がいる時代、人間が生まれる時、未来の世界など、いろんな時代を行き来します。
その旅の中で、カムラは素敵な風景を見たり、いろんな時代の愉快な仲間たちと出会ったりします。
でも、永遠の命はずっと一人でいることも意味します。愛する人と別れ、新しい出会いを繰り返すことになるのです。
カムラはこの長い旅の中で、自分自身と向き合い、世界の本当のことを知ろうとします。これはただ逃げるための旅ではなく、自分の心の平穏を見つけるための旅でもあります。
カムラはこの呪いから逃れ、母親、そして親友の女の子に謝って、本当の幸せを見つけることができるのでしょうか。
完結までストック有
主な登場人物
•蓮姫《カムラ》
17歳の主人公の少女。
古代ガンガラ大陸のとある小国の王宮に住むワガママなお姫様。
まるで絵に描いたような典型的なジャイアン系女子。
世の中にまかり通っている不条理に対しては
真っ向から立ち向かう粋な一面を持つ。
【追憶編】
•カムラのおばちゃん
蓮姫《カムラ》の血縁の祖母。
いなくなったカムラの実の両親の代わりにカムラを育てている孫思いの優しいおばあちゃん。
•蓮姫のお母さん
家出をし、行く宛の無くなったまだ幼い
カムラを引き取り育ててきた里親。
王族のお妃様。
【(1)原始のいのち《地下生物圏》編】
•オイロス
真っ暗な水中の世界で蓮姫が出会った年の頃小学校低学年くらいの幼い少年。
•マザー様
オイロスを含め村人達が創造主としてあがめている謎の存在。
マザー様という呼称からも想像できるように、みんなに分け隔てなくせっする偉大で優しいお母さんのような存在らしい。
プロローグ 不老不死の薬
昔々、インドを連想させるガンガラ大陸のとある小国に、裕福で若く美しいお姫様がいました。お姫様はお金に物を言わせ、望むものは何でも手に入れることができました。しかし、お姫様が望んでもどうしても手に入らない物がありました。それは永遠の命と若さでした。
「お姫様、これが願いを叶える不老不死の薬でござります」
行者は謁見の間でお姫様にそう言って、薬の粒が目一杯入った壺を見せました。
「おう!これか?待ちわびたぞ!ところで行者よ、この薬はどうやって飲めばいいのか?」
お姫様は行者に聞きました。
「寝る時に砕いて水に混ぜて飲んで貰えればいいのですじゃ」
「砕くのだな。ああ、わかった。
下がっていいぞ」
召し使いから褒美を受け取った行者は、補足があるのでと姫様に言いました。
「姫様、その薬は粒を砕いて粉にして、水にほんの少しだけかけて飲むのです。これは必ず守ってくだされ。そうし…」
「わかったわかった。私も忙しいのだ、もう下がれ」
行者は召し使いに城門の外まで追い出されてしまいました。
その夜、お姫様は召し使いに薬を一粒砕くように命じ、砕いた粉を一つまみ水に溶かし飲んで寝ました。
次の日、目が覚めたお姫様は一目散に水鏡のある部屋に行き、最近おでこに出来た悩みのシワを映してみました。
「ちっとも変わらんじゃないか……」
お姫様は翌日、昨日の年老いた行者を呼びつけました。
「行者よ。全然効果が出ないではないか?これはどういう事か?」
「姫様。わしは確かに不老不死の薬の壺を持っておりますが、まだ一粒も渡しておりませぬ。今日、ちょうど姫様にお持ちしたところですじゃ」
「何を馬鹿な事を申すか!私は昨日薬の壺をもらい飲んだぞ!なあ、お前達も見ていたであろう?」
お姫様はお世話役の召し使いに聞いてみました。
「姫君、大変申し訳無いのですが、先日不老不死の薬等は見ておりません」
「なんじゃ!お前達まで私を馬鹿にする気か!もう良い。薬は私が自分で煎じて飲む。異論は認めん!」
お姫様は昨日、母親と喧嘩をしたようで、朝からイライラしているようです。
お姫様は行者に大金を渡し壺を乱暴に奪いとると、自分の部屋に籠り鍵をかけました。
その夜、お姫様の部屋からは乱暴に粒を擦り潰す音が絶えず響いていました……。
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**登場人物**
• 蓮姫
• 行者
※第1部の主要登場人物について詳しく知りたい方は、第1部巻末の『第1部 主な登場人物』をお読みください。