「先生。それで、イワンが加わる件は大丈夫でした?」
真智は心配そうに尋ねた。
「大丈夫やで。心配性やな自分。ご両親にはうちからうまく言っといたから」
谷先生は自信をもって答えた。
「真智、大丈夫……。先生が墓穴掘らないようにボクがフォロー入れておいたから……」
イワンは優しく言った。
「先生~、教え子にフォローされるなんて本当に大丈夫なんですか~?」
あたしは目を細め、人を食ったような笑顔で先生に言ってやった。
「だからな、先生はえ~と……、とにかくあんたら、先生をからかうな!」
谷先生は少し照れながら言った。
コツン!
谷先生が軽くあたしの頭を叩いた。
「先生、いた~い!」
あたしはびっくりして叫んだ。
コツン!
谷先生はイワンの頭も軽く叩いた。
「トホホ。どうしてボクまで……」
イワンは肩をすくめてつぶやいた。
あたし達は、その後学校に向かい、谷先生に部活の顧問になってもらい、『宇宙の真理を探す部』を発足させた。
「先生、よくすぐに部室を準備できましたね!」
真智は驚いて言った。
「あ~、この部屋な?ここは去年まで科学部が使ってたんやけどな、最後の部員が卒業して廃部になってもうたんや。せやからそこを借りたわけや」
谷先生は説明した。
「そうだったんですか」
真智は納得したように頷いた。
「ところで愛理栖?宇宙の仕組みをなんたらって、具体的には何をするわけ?」
あたしはさっそく愛理栖に聞いてみた。
「そこなんだけどね、まずは宇宙のなりたちを理解してもらって、宇宙の始まりが5次元レベルで『いつ』『どこで』起きたのかをみつけて欲しいの」
愛理栖は真剣な表情で話し始めた。
「なるほど!!・・・・・・わからん。
って冗談言ってる場合じゃないか。それって具体的にどうやって?」
真智は少し混乱しながらも興味津々で尋ねた。
「それは……」
「うち思ったんやけどな、まずは宇宙のなりたちについて愛理栖ちゃんが知っていることを黒板に書いてまとめていったらどうや?」
谷先生が愛理栖に助け船を出した。
「そうですね!じゃあ、私が知っていることをあげていきますね」
愛理栖はそう言うと、黒板に宇宙の知っている知識を書き始めた。
「ちょっと待って!そこに書いたインフレーション理論についてわかりやすく教えて?」
あたしは愛理栖が黒板に書いた文字に食いついた。
「さっき、少し真智にも話したよね。宇宙がどうやって始まったかっていう……」
愛理栖は黒板の前で説明を始めた。
「あたしはさ、宇宙は始まりとか無くて最初から存在しているものって思ってた」
真智は首をかしげながら、自分の考えを口にした。
「ボクも……」
イワンは小さく頷いた。
「え~! みんな、そこから?
この宇宙には始まりの神話があるんだよ」
愛理栖は驚いた表情を見せ、少し黙った後、両目を瞑りゆっくりと語り始めた。
※今回の要約※
真智はイワンが部に加わることを心配して谷先生に尋ねるが、先生とイワンは安心させる。活動「宇宙の真理を探す部」が発足し、愛理栖が宇宙のなりたちを説明した。