「この空き家かぁ…。」
薄暗い室内に足を踏み入れると、そこはまるで時間が止まったかのような静けさだった。
「わぁ、ホコリすごい…」
そう呟きながら、懐中電灯の光を頼りに中を探索する。
「え、なにこれ? 農具だらけじゃん…」
古びた木造の建物は、どこか懐かしいような、そして少し寂しいような雰囲気を醸し出していた。
ふと、後ろを振り返ると、そこには
あの時の不思議な
「ねえちょっと愛理栖、
いつからそこに居たの?
さっきまでゼッタイ居なかったよね!?」
あたしは心臓がドキドキと鳴り響いた。
「キミには、この世界を見る特別な力があるんだよ」
彼女に突然そう言われたあたしは、思わず目を丸くした。
「特別な力? それって魔法とか?」
「まあ、そんなかんじかな。
キミ、名前は真智だったよね?」
愛理栖は言った。
「うん、そうだよ」
「ねえ、真智は最近、普通に生活してて何か違和感とかかんじない?」
もしかして、あたしの心、愛理栖に覗かれてるっ!?
それは図星な質問だった。
「わかるの?
「ねえ、その原因知ってる!?」
愛理栖は身を乗り出してきた。
「うーむ、あたしに聞かれても……」
あたしは言葉に詰まった。
「質問変えるね。 そんなことが出来る人、
真智は誰だと思う?」
「誰って、 普通そんなのありえな……。
あ、わかったー!」
あたしは閃いた。
「じゃあ誰?」
あたしはテストの答案用紙を指差し自信満々にウインクして言った。
「解答ルパン……どや⭐︎♪」
「おぉぉ、全問正解♪
って、なるかァァァ~!!」
ポカポカポカ
「うぇぇん、ごめ〜ん愛理栖。
あたし、
得意科目だけに、へへ♪」
「まあ、冗談はさて置き、
ねえ、愛理栖?
実はあたしの両親が消えちゃったの!!」
「知ってる?その犯人、『か・み・さ・ま』みたいな存在なんだよ」
「え? 今なんて」
「だから神様」
愛理栖のその言葉には迷いがなかった。
「……、ナンデストー!」
「そして実は私もそう。
ただし、本当は神様じゃないんだけどね。
私は異次元から来た高次元存在。
この宇宙には、私達と同じ高次元存在が数多く存在し、その中にはこの宇宙の破壊を企図する者もいる。
私の使命はこの宇宙の保全だけど、厄介な問題が存在するの。
敵対する高次元存在は、現行の科学では未だ解明されていないダークマターやダークエネルギーといった、宇宙の未知なる部分に潜伏しているの。
この現状では、私一人では彼らに対抗することが困難。
よって、高次元理論を理解し、数理モデルおよび観測データを駆使して宇宙の隠された真理を解明できる仲間が必要なの。
高次元宇宙の真理を解明し、敵対する高次元存在を発見・排除することで、この宇宙を守ることが可能となるの。
今の説明、わかった?」
「え~と、日本語でお願いします」
あたしがそう頼むと、愛理栖は噛み砕いて説明してくれた。
私は神様ではなく、別の宇宙に住んでいる特別な存在です。
この宇宙には私のような特別な存在がたくさんいますが、中には宇宙を壊そうとする悪い人もいます。
私は皆さんの宇宙を守りたいのですが、
悪い存在たちは秘密の場所に隠れています。
だから、あなたにお願いがあります。
私と一緒に宇宙の秘密を探して悪い存在を見つけ、この宇宙を守りましょう。
小学生にも分かりやすい文章に修正しました。
修正ポイント
* 難しい言葉の置き換え:
* 「高次元の存在」→「特別な存在」
* 「暗黒物質」「暗黒エネルギー」→「宇宙の
「その意訳、人工的な匂いがプンプンするけど、大丈夫かな?」
まあいいや。あたしは話題を戻した。
「ねえ、あたし思うんだけどさ。
愛理栖も神様だったら、
自分でそいつらやっつけちゃえば済むんじゃない?」
「そう簡単にはいかないんだよ。
例えば、真智は鏡を使わず自分の背中に隠れた蝶々を見ることができる? 」
「できないよ」
「それと同じだよ。私は自分だけで全てを解決することはできないの。
それに、変に目立つと敵に気づかれちゃうかもしれないし。
彼らは私を攻撃する前に、この宇宙のどこかに隠れているから。
彼らを見つけ出す方法をまず知る必要があるの。
それには、真智たちのような低次……、
協力が必要という訳なんだよ。
わかった?」
「低次元で悪かったね」
あたしは愛理栖の失言に不貞腐れながらも考えた。
話の内容全てがあたしにはちんぷんかんぷんだった。
でも、現に両親が消えてるんだから、
背に腹はかえられない。
彼女の言葉に、あたしは現実と幻想の狭間で揺れ動いていた。
※今回の要約※
真智は空き家で愛理栖に再会し、彼女が高次元から来た存在であることを知る。愛理栖は真智に協力を求め、共に宇宙を守るための冒険が始まる。