『神さまの目で見ると、日常の様子はこんなにも変わるんだね!』
『そう、世界は見えない”かたち”で成り立っていますから』
『え?彼らは誰かって?
覚えていないのは無理ないよね?
彼らは……君……だよ』
これはさ、あくまで例えば……の話しだよ。君の『脳』がもし、目には見えない別の
僕がこの
君は僕の話を信じてくれるかい?
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時は、大正時代
ある日、
あたしは雨戸の
それを知った時、あたしはすごくびっくりした。
興味を持ったあたしは穴のあいた板を机の下に立てて、
紙のスクリーンに同じように映るかやってみた。
すると、スクリーンにはちゃんと外の景色が映し出された。
あたしはそれに秘密のシアターと名前をつけ、
寝転びながら、毎日外の景色を楽しんでいた。
そしてまたある日。
あたしは外でたまたま虫眼鏡を拾った。
そして、いいことを思いついた。
そうだ!
この虫眼鏡を秘密のシアターの節穴に差し込んでみよう!
外の景色がスクリーンにもっと大きく映るかも!
あたしはそれをすぐに試してみたが、
スクリーンに映った景色は意外に小さかった。
残~念。
しかし、あたしその代わりに凄い事を発見していた。
それは、今までよりずっとずっと綺麗に映ってたことだった。
これ、すごい発見に違いないよ!
あたしは自信があった。
そして、後で調べて仕組みを知った。
虫眼鏡は凸レンズで光をたくさん集める性質をもつ。
だから、板に節穴だけのときより光がたくさん集まって景色が鮮明に映るということを。
他にもあった。
あたしは理科の時間に酸素の中で針金を燃やす実験を見た。
線香花火みたいにキラキラと光る針金を見てあたしは感動した。
それから、水素の実験もすごかった。
風船に水素を入れて空に飛ばすと、パンッという音とともに火花が散った。
空に赤い光が広がって、まるで花火だった。
そんなふうに実験に夢中になった私は、
学校で教わるだけでは物足りなくなって、
自分で考えて実験をするようになった。
本で見つけた電気仕掛けのベルや電信機も作ってみた。
電池と線とスイッチで音が出たり文字が送れたりするのが面白かった。
私が持っていた子供用の顕微鏡は、
倍率が約20倍しかなかった。
小さな生き物を見ることはできたけど、
本当はもっと細かいところまで見たかった。
もっと高倍率の顕微鏡があればどんな世界が見えるんだろうとあたしは子供ながらに気になった。
ある日、
あたしは学校でガラス管の切れ端をもらい、
それを溶かして自作のレンズを作った。
自作のレンズはなんと200~300倍の倍率になった。
自分なりにいろいろ工夫して、思い通りになる。
この喜びはあたしにとって何ものにもかえがたかった。
こうしてあたしは科学が大好きになっていった。
あたしは最近、暇さえあれば毎日納屋に籠り
自作の顕微鏡でミジンコ観察をするようになっていた。
「ツンツン」
何かが、あたしの背中をツツいていた。
「え、なに〜?」
あたしが後ろを振り返るとそこには…
まるでおとぎの国からきた迷子の妖精のように、可憐で幼い容姿の女の
彼女は輝く笑顔で真智の方を向く。
彼女の水色の髪は納屋の節穴から差し込む光を受けてキラキラと輝き、その栗色の瞳は無垢な好奇心に満ちていた。
その妖艶な栗色の瞳が、さっきからずっとあたしを見つめていた。
「あたしは真智。
あなた……名前は?」
「
「みかけない格好してるね。 西洋の人?」
あたしは思っていたことをそのまま口にした。
「実はキミに渡したいものがあるの。 どうぞ」
「無視? まあいいか。 あ、ありがとう」
名刺のようね。なになに、
どういう意味?
「ねえ愛理栖ちゃん?これはどういう……」
その
飼い猫から逃げるネズミのようにすぐにこの場を去ろうと……。
「ちょい待った!
あなた、本当に誰なの?」
「信じて! 君が消えちゃうその前に……」
その言葉を最後に、その
まるでロウソクから消えたともし火のように
跡形もなくどこかへと消えてしまった。
(どこ……?
それにしてもあの
何かひっかかる…)
名刺の裏には地図と時間、そして"誰にもいわないで"とある。
あたしは喉に刺さった小骨のように愛理栖のことがずっとひっかかっていたから、 後でお父さんに聞いてみた。
「誰も来んよ!おめえ、夢でもみたのか?」
「だって、現に来たよ」
あたしはお父さんに証拠として名刺を見せようとしたけど、 注意書きのことを思い出し思いとどまった。
次の日、
あたしの頭の中は不思議な女の子、愛理栖のことでいっぱいだった。
彼女のことが気になりずっとひっかかっていたあたしは、
数学と物理、化学の得意科目の時間以外
ずっと上の空で、
教室の窓から空をぼうっと眺めていた。
『キ〜ンコ〜ンカ〜ンコ〜ン!』
終業のチャイムを聞いた後も、
あたしはもらった名刺をポケットから出し、
食い入るように見つめてばかりだった。
『信じて、 君が消えちゃう前に……』
あたしには、愛理栖が去り際に放った『消える』という言葉が全然他人事とは思えなかった。
嫌な予感がした……。
あたしはワラにでもすがるような気持ちで真っ直ぐに家に向かった。
あたしが家に帰ると……、
両親の
あたしは喉の奥に指を突っ込まれたような衝撃を受け、
それと同時に、 まるで空気の抜けたゴム人形のように倒れ込んだ。
あたしにたいして不自然な程親しげに接してくれる親戚のおじさんやおばさん。
しかし、その善意は
容赦なくその残酷な現実を浴びせ続けた。
あの時の言葉が、あたしの頭の中でぐるぐる回る。
あの不思議な
『信じて! 君が消えちゃうその前に…』
一体、何を意味しているのかな?
恐怖と同時に、あたしはどこか興奮も感じていた。
まるで、秘密の物語に引き込まれていくような。
愛理栖は、どこから来たのかな?
なぜ、あたしに名刺を渡したのかな?
そして、なぜ、人が消えていくのかな?
あたしは、この謎を解き明かすために、
名刺に書かれた場所へと足を運ぶ決意した。
登場人物
・真智
明るく元気で好奇心旺盛なリケジョ中学生、真智。背が低く、赤と桃色の半袖ちゃんちゃんこと半ズボンを可愛らしく着こなしている。靴下は履かず、代わりにワラジを履くのが彼女のこだわり。こげ茶色の短い髪は風に舞い、可愛らしい笑顔がいつも輝いている。無邪気で純粋な性格から、周囲の人々を自然と引き寄せている。
※今回の要約※
真智は科学の不思議な現象や実験に夢中な好奇心旺盛な少女だった。
ある日、真智は愛理栖という謎の少女に出会い、名刺を渡される。両親が消えた後、真智はその謎を解き明かすために名刺の場所へ向かう決意をする。
※【
土中に小石室をつくり,経筒や経箱に経典を入れて埋納し,盛土をした塚。56億7千万年後の