第31話 カーラ 一生
※前回のあらすじ※
ひかるは愛理栖との喧嘩を空に相談し、助言を受けて謝罪。二人は散歩中に思い出話をし、愛理栖は本当の名前を思い出す。その夜、愛理栖が不思議な姿で現れる。
※あらすじ 終※
むかしむかし、あるところに、なかのいいお母さんセミと子セミの女の子のかぞくがいました。
女の子はまだようちゅうで、外のせかいのことをしりません。
お母さんはいつも女の子がねる前に外のせかいのことをまいにち話しきかせました。
はじめて外のせかいを飛んだときのこと、
はじめて外のせかいでともだちができたこと、
鳥に食べられそうになったこと、
お父さんセミにしりあったときのこと、
女の子がうまれたときのこと、
女の子はお母さんの話をきくのをいつも楽しみにしていました。
しかし、ある日お母さんは女の子に言ったのです。
「お母さん、これからながい旅に行ってくるね」
女の子はとつぜんのことで、いやだいやだと泣きじゃくりお母さんの言うことをききません。
「ごめんね。さみしく思うかもしれないけど
たくさんのものたちがあなたのおともだちになってくれるわ。
だって、あなたはわたしの大切な大切な宝ものなんですもの。
あなたをひとり残して先に行ってごめんね。
でもね、あなたがおりこうさんにしていたら
いつかまたどこかできっと会えるわ」
お母さんが旅にでた後つきひがながれ、女の子はせいちゅうになって外のせかいに飛びたちました。
そして恋をしてお母さんになりました。
女の子はお母さんになってはじめて
じぶんのお母さんが言っていたことばのいみがわかりました。
おしまい
作 しおり
「君、 本当に愛理栖?」