僕はベッドから起き上がり、ぼんやりと天井を見上げた。
さっきのは夢…?
いつの間にか寝てしまっていたようだ。
「ひかるさん、起きた?
おはようございます!」
愛理栖の明るい声が響いた。
「おはよう。ちょっと変な夢を見てさ…」
「へぇ、どんな夢ですか?」
「秘密だよ。ところで、愛理栖ってさ、
5次元が実際にどう見えるか知ってる?」
「え?5次元がどう見えるかですか、
う……、
難しいです」
愛理栖は目を丸くして、首をかしげた。
昨日のはやっぱり、夢……だよな。
僕は心の中で呟いた。
「うーん、簡単に言うと、僕たちの住んでいる世界とはちょっと違う、ふりかけのような世界のことなんだ。」
「へぇー。ふりかけみたいな世界なんですね」
「よくわかんないんだけど。夢に出てきたからさ。」
「へぇ、面白いですね。
あたし、そんなの全然知らないです」
愛理栖は楽しそうに笑った。
「ところで愛理栖。今日の予定、何か希望ある?」
「うーん、とりあえず、空さんにお礼を言って、次の場所へ行く感じですかね」
「うん、そうだね。じゃあ準備しよう!」
「あんた達もう行くの? まだゆっくりしていっていいのに」
「いえいえ、そんな何日も迷惑かけられません。本当にたくさんお世話になりました。 空さんありがとうございました」
「あの、愛理栖ちゃん、ひかるも、
LINI交換しといていい?」
「あ、もちろんです♪」
僕達は喜んで快諾した。
「ねえ、愛理栖ちゃん?
あのひかる君の話……」
空さんは愛理栖に小さく耳打ちした。
「はい、今夜電話しますね」
「何を聞いたんだよ、愛理栖?」
「秘密です♪」
「困ったことがあったらいつでもかけな。
また遊びに来なよ!」
「は~い!」
僕はそう言うと愛理栖の母の家目指してハンドルを切った。
しばらく車を走らせると、視界が開けた。
「わぁ、すごい!」
愛理栖が窓から顔を出し、興奮気味に叫んだ。
眼下には、雲海が広がっていた。
まるで、綿菓子を敷き詰めたような、
ふわふわとした雲が、どこまでも続いていく。
「すごいね…まるで天国みたいだ」
僕も、窓の外の絶景に見とれていた。
雲海の上を飛んでいるような、
そんな気がした。
※今回の要約※
不思議な夢から目覚めたひかる。
ひかるから5次元の話をふられて愛理栖は困惑する。
二人は空に別れを告げ、再び旅立つ。
旅の途中、二人は偶然雲海に遭遇し、
その絶景に感動した。