「ひかるさん、ちょっとだけ秘密を見せますね」
愛理栖はそう言うと、
まるで魔法をかけるように、キラキラと光る眼鏡を手渡した。
「目を閉じて、この魔法の眼鏡かけてみてください」
少しだけドキドキしながら、僕は眼鏡をかけ、目を閉じた。
「……ふふ、どうです?」
愛理栖の甘い声が耳に届く。
「……わ、わぁ!」
恐る恐る目を開けると、そこには見たこともない光景が広がっていた。
今まで当たり前だと思っていた世界が、
まるでパズルのようにバラバラに砕け散り、
無数の光が渦巻いている。
「これは……いったい?」
僕は思わず声を出してしまう。
「神さまの目で見ると、日常の様子はこんなにも変わるんだね」
「そう、世界は見えない”かたち”で成り立ってますから。
これですね、私たちが普段見慣れてる世界とは少し違う、もっと大きな世界なんです」
愛理栖は微笑みながら、そう説明してくれた。
「まるで、夢の中にいるみたいだ……」
僕は呟いた。
「夢? いいえ、夢じゃないですよ。
私たちの日常の一部。
ただ、私たちが知ってる風景とは違う一面なんです」
愛理栖は、まるで秘密を打ち明けるように、
僕に語りかける。
「例えば、ふりかけって、いろんな味がありますよね? 鮭味とか、梅味とか」
「うん」
「この世界もそんな感じです。
私たちが見ている世界は、その中のたった一つの味。
例えれば、光の味がするふりかけです。
でも、他にも例えば重力とかたくさんの味がするふりかけが同じ場所に混ぜ合わさった
たくさんの世界があるんです」
愛理栖は、まるで子供に語りかけるように、
ゆっくりと説明してくれた。
「……光の味がするふりかけ?」
僕は、その言葉の意味をじっくりと考え始めた。