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第14話 マイトリーカルナ 平等ないのち①

**回想 •『親友との出会い』**


話を少し戻す。

これはあたしがみどりと仲良くなったときの話だ。


あたしは生まれてすぐに母を亡くして、

家は貧しくて、父からは虐待を受けて育った。そういう環境のせいなのか、あたしは疑り深い性格になった。

 そして、幸せで何不自由なく生きている奴が本当に許せなかった。


クラスには千佳という真面目な性格の学級委員の女子がいた。

 彼女は事あるごとに、あたしが授業参観に保護者を呼ばないことや給食費を忘れること、

借り物が多すぎることを咎めてきた。


最初はあたしも我慢していた。

でも、誰にだって我慢の限界はある。

ついにその限界を超えたあたしは、

千佳の長い髪を片手で激しく掴んで机に叩きつけた。


「ちょ、空ちゃん?痛い、痛いよぉ!」


「千佳ちゃん、大丈夫!?どうしよう、

保険の先生呼ぼうか?」

クラスメートたちに心配される千佳の顔は大量の鼻血で真っ赤だった。


でも、その時のあたしは、千佳の心配をするどころか、いい気味だって思っていた。


「テメーら、あたしに何か文句あるかー!?

あー!?」

あたしはクラスのみんなの視線に耐えきれず逆上して叫び、全員を鋭い眼光で睨みつけた。


『…………』

誰もあたしに意見する奴はいなかった。

その日以来、あたしは千佳を目の敵にしていた。


その後、あたしはクラスカーストのトップになり、あたしのことを悪く言う奴はいなくなった。

でも、そのことと引き換えに誰もあたしの前で笑顔を見せなくなった。


ある日、クラスメートが陰であたしの悪口を言っているのを偶然耳にした。


「ねえねえ、貧乏神って体臭臭くない?」


「あ、わかるー!特に頭。あのフケ頭、ホント勘弁して欲しいよねー!」


「こらこら、貧乏神に聞かれたら俺たちまで殴られっぞ!」


その日を境に、あたしは誰も信じられなくなった。でも、それはある体育の時間のこと。


あたしは生理ということにして、

その日の体育の授業は見学をさせてもらっていた。

もう誰の顔も見たくなくて、外野で体操座りをし、頭を膝の下に深く埋めて、心の中で自分に何度も言い聞かせた。


いいさあたしは誰かに助けてもらわなくても、自分一人で生きていけから。


『ねえ?』


『えっ!?』


突然、背後から誰かに優しく肩を叩かれた。

こんな孤独なあたしに声をかけてくれたのは、まるで天使のような存在だった。


それは、みどりちゃんだった。


※今回の要約※

貧しく虐待された幼少期の空は、学級委員に暴力を振るい孤立するが、体育の時間に優しい女の子みどりに声をかけられる。


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