「ひかるさんを悪く言わないで!!」
愛理栖の突然の大声に、僕は圧倒された。
「あ、愛理栖ちゃん?」
「あ、痛い、痛い」
「おい、急に頭を庇って大丈夫!?」
「大丈夫です。もう痛みは治りましたから」
「大丈夫そうには見えないよ。待ってて、すぐに救急車呼ぶから」
「お願いです。呼ばないでください!」
「え、どうして?」
「この症状、実は今回だけに限ったことでは無いので大丈夫です」
「本当に?無理はするなよ」
「はい」
「愛理栖ちゃん、さっきはありがとな」
「え? 何のことですか?」
僕は何かを思いついた時のような勢いで、愛理栖の至近距離まで詰め寄った。
「ちょっと、え、え!?急にどうしたんですかひかるさん!?」
しかし、愛理栖は目を閉じて、正面より少し上を向いていた。
「いいのかい、愛理栖ちゃん?」
「そんなこと聞かないでください」
愛理栖の返事を確認した僕は、彼女の頭にそっと片手を載せた。
ビクッ!
「大丈夫か、愛理栖ちゃん?」
「大丈夫です」
僕は愛理栖の言葉に反応せず、ただ静かに愛理栖のサラサラと流れる髪を撫でた。彼女は目を閉じたまま、僕に話しかけてきた。
「ひかるさん? さっき私にありがとうって言ってくれましたよね? あれはどういう意味ですか?」
「僕がどこの馬の骨ともわからないような男と言われた時に、君は強く否定してくれたよね。ありがとね、愛理栖ちゃん」
「あの時ですね。私の事なら我慢できますが、ひかるさんを馬鹿にされるのは許せなかったんです」
「本当にありがとう、愛理栖ちゃん」
「私のことは愛理栖でいいですよ。
お兄さんのことはこれからひかるさんって呼んでいいですか?」
「もちろん」
「改めてよろしくね、愛理栖」
「はい、私の方こそ、よろしくお願いします。
ひかるさん」
「それにしても、今の症状、本当に大丈夫?」
「はい、大丈夫です。
ところで、ひかるさんは私のこと信じてくれますか?」
「もちろんだよ。何があっても信じるよ」
愛理栖は少し安心したように微笑んだ。しかし、彼女の目にはまだ不安が漂っていた。
「実は、私にはひかるさんにしか言えないことがあるんです」
「何でも話してごらん」
「ひかるさんの周りで起きている奇妙な出来事、すべては私とこの宇宙の創造主が原因なんです」
僕は耳を疑った。「創造主って、どういうこと?」
「実は、この宇宙には創造主が存在していて、私たちの運命を操っているんです。その影響で、存在や記憶が書き換えられることがあるんです」
「そんな…信じられない。でも、君が言うなら…」
「信じてくれてありがとう、ひかるさん」
※今回の要約※
愛理栖はひかるの前で突然頭痛になった。
ひかるは愛理栖を心配して病院に連れて行こうとしたが、愛理栖は断った。
愛理栖は自分の頭痛の原因が
自分と創造者にあるとひかるに明かした。