「嫌ゃゃあああ!」
バチーン!
痛てて!
「愛理栖ちゃん待って?」
愛理栖はそのまま部屋の奥にいってしまった。
しばらくすると愛理栖は服を着て戻ってきた。
愛理栖は言った。
「男の人ってこんなときもっとこう……、
大きく舌を出して鼻の下をでれ〜って伸ばしてませんか?
そして、偶然クラスメイトの女子のお風呂を覗いたときに
きゃー!!◯◯◯さんどイッチ〜!!
と……」
「それ絶対◯び太だよね!?」
最近、愛理栖の生活圏内で噂になっている
怪奇現象を君たちはご存知だろうか。
◯び太サンドイッチ。
怪異である。
それは人の原型すらとどめておらず、
もはや◯び太くんと呼んでいいものかどうかも疑わしい異質な存在なのである。
と、冗談はこれくらいにしておくが、
愛理栖の先入観のベクトルが大変残念な感じなのは本当だ。
「まあでも、
私はお兄さんは信用できる人だと思ってますよ」
「ほんとに?
わかってくれててよかった。
ありがとね、愛理栖ちゃん」
僕は愛理栖の本音を知り、
ほっと胸を撫で下ろした。
「くれぐれも、私をみて卑猥な想像は絶対にやめてくださいよー」
愛理栖は細めた目で僕に釘を指した。
「わかったよ、愛理栖ちゃん。
大丈夫、僕は君の裸をみても絶対、欲情しないから!」
「へ?
はぁー!!?」
パチッ、パチッパチッ!
「え?」
愛理栖の様子が明らかにおかしい。
「……」
「あ、しまった。
あの……、愛理栖さん?
今あなたの髪、どこぞの国民的バトルマンガの戦闘民族やビリビリ中学生みたく激しく放電はじめてるんですけど」
「・・・・・・最低!!」
「あ?
ごめん……」
「デリカシーを微塵も感じさせない貴重なご意見、どうもありがとうございました。
人の気持ちがわからない哀れなオオカミさん♪」
「えー?
ちょ、誤解だよー!
頼むから先ずは落ち着こう、ね?
先ずは一度深呼吸をしよう。
それから、ちょっと僕の話を……」
「お、お、お兄さんの馬鹿野朗ォォォォォー!!!」
バカチィ~ン!!!
※擬音語です
「ぐ!?ぐはぁぉぅっっつ!!!」
愛理栖のビンタは僕の右頬に見事クリーンヒット!
僕の体はまるでコマが回るときのように横方向に高速回転しながら勢いよく弾け飛ぶ。
本作を読んでいただいている読者が想像するイメージ空間より遥か場外まで僕はぶっ飛ばされた。
「愛理栖ちゃん、本当にごめん」
愛理栖はしばらく目を合わせてくれなかった。
僕自身が招いた沈黙に何か言葉を探していたときだった。
突如としてスマホの着信音が部屋中に響き渡った。
※今回の要約※
愛理栖にビンタされたひかる。ひかるは愛理栖の誤解を解こうとするが逆効果でさらに怒らせてしまった。
そんな時、突如としてスマホの着信音が部屋中に響き渡った。