「あ~、疲れた。明日も早いし、もう寝ようかな。」
ベッドに横になりながら、私は窓の外をぼんやり眺めた。
最近、いつも通りの毎日が送れていない。
それは、ひかるお兄さんのことが頭から離れないからだ。
「明日も早いし、ちょっと早いけどお風呂に入ろうかな。」
そんなことを考えながら、スマホを取り出したとき、
着信音が鳴った。
「もしもし、愛理栖ちゃん?今電話して大丈夫?」
ひかるお兄さんの声が聞こえた瞬間、
私の心臓はバクバクと音を立て始めた。
「お兄さん?どうしたの?
何かあったの?」
「実は、僕の母さんが……」
ひかるお兄さんの声が途切れた。
何か言いにくそうな様子だ。
「お兄さん?」
「ごめん、今は話せないんだ。
また後で詳しく話すね。」
そして、電話は切れてしまった。
一体、どうしたんだろう?
ひかるお兄さんの様子がいつもと違う。
何か嫌な予感がする。
その頃
病院の受付で、僕は必死に説明を試みた。
「僕の母親が、いないって何故ですか!?
昨日だって母の病室に行ったんですよ」
しかし、受付の職員は僕の話を信じようとはしてくれなかった。
「もう一度入院記録を調べ直してみたのですが、
やはりあなたの探されている患者様は、
本院には入院されていません」
「そんなはずないんですよ!」
僕は、この状況が現実のことなのか、
それとも夢なのか分からなくなっていた。
その時、ふと思い出したことがある。
愛理栖からもらった名刺だ。
裏には、宇宙クラブという謎の団体に関する情報が書かれていた。
もしかして、愛理栖は何か知っているのかもしれない。
僕は藁をもすがる思いで、名刺に書かれた場所へ向かうことにした。
※今回の要約※
愛理栖は近所に住む年上のひかるに片思いをしている。
ひかるは、病気の母親が存在自体消えてなくなっているという不可解な事態に遭遇する。
また、彼は目の前の事態に対してある既視感を感じていた。
宇宙クラブという謎の団体に関係する女の子愛理栖が言っていた意味深な台詞を思い出したのだ。
ひかるは妙な胸騒ぎを感じつつも、
藁をもすがる思いで名刺に書かれた愛理栖の待つ廃ビルへと急いだ。