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サルヴァ・ダルマ・アートマン 世界はみえない「かたち」で出来ている


あれは、……夢?



その日も、僕は郊外の山の中腹にそびえ立つ巨大なパラボラアンテナを見上げていた。


僕がしているのは、宇宙の果てを探る果てしない作業で、それは魅力的だった。

 だが、その繰り返しがいつしかマンネリ化し、僕はそこにどこか孤独を感じていた。

 まるで、この宇宙に自分ひとりだけが取り残されたような、そんな孤独だった。

「五色!頼んでいたデータはどこだ!」

上司の怒声が、静寂を破る。


僕はまたいつものように言い訳をし、

また一日が終わる。

 研究室を後にする足取りは、重かった。


机の引き出しには、古本屋で見つけた

『宇宙の秘密をあなたにだけ』という本がある。


僕はページをめくるたびに、広大な宇宙に心が惹きつけられる。

 どこか、初心の頃の新鮮な気持ちと重ねてしまう自分がいた。



ある夜、最後のページに書かれた「宇宙クラブ」というワードが気になり、その連絡先につい手を伸ばしてしまった。


次の日、いつものように残業をしていると、背後から「ツンツン」と肩を叩かれた。


「愛理栖?」

幼馴染の愛理栖によく似た、見覚えのある女の子が立っていた。水色の髪が、夕日の光に輝いていた。



「実は、お兄さんに渡したいものがあるんです」

彼女は唐突にそう言うと、僕に名刺を手渡した。

そこにはあの「宇宙クラブ」の文字が。


「ねえ、これ、どういうこと?」


「信じて。あなたが消える前に…」

そう告げると、彼女はパッと消えてしまった。


愛理栖の言葉が、僕の心をざわつかせる。

まるで、何か大切なものを告げられているような気がした。


それからというもの、僕の周りで不可解なことが起こり始めた。


母の体調が悪化し、病院に行っても病室には誰もいなかった。


あの嫌いな上司の姿も突然見えなくなった。


愛理栖の言葉が、頭の中でぐるぐる回る。


「あなたが消える前に…」


一体、何を意味しているのだろう?


恐怖と同時に、どこか興奮も感じていた。

まるで、秘密の物語に引き込まれていくような。

愛理栖は、どこから来たのだろう?

なぜ、僕に名刺を渡したのだろう?

そして、なぜ、人が消えていくのだろう?

僕は、この謎を解き明かすために、

宇宙クラブへと足を運ぶ決意をする。



※今回の要約※


天文学者の青年五色ひかるは、幼馴染と同じ名前で水色の髪の不思議な女の子・愛理栖から名刺をもらう。去り際の愛理栖の意味深な言葉が暗示するかの様に、ひかるの身の回りでは母や上司が存在ごと消えていくという不思議な現象が起こる。愛理栖はひかるに何かを伝えようとしているのか、その真意はまだ不明だ。

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