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星屑彼方の君とあの夏の旅
憮然野郎
SF空想科学
2024年12月01日
公開日
96,019文字
連載中
せかい は”みえないかたち”でできている

七夕の日、二人の旅の終着点には、どこまでも伸びる壮大な天の川を背景に、まるで羽衣伝説のように幻想的な5次元の世界と、胸を打つ感動の瞬間が待っていた。

信越の田舎に住む天文学者の青年ひかると空想好きな女子中学生愛理栖。
二人は愛理栖の本当の名前を探すために
ひと夏の旅に出ます。
SFと恋愛が交差する物語の中で、彼らは時間と空間を越え真実の先にある愛を見つけることができるのでしょうか。
七夕の日、二人の旅の終わりに待っているのは、幻想的な5次元の世界と、深い感動の瞬間。
果たして、ひかると愛理栖は真実の愛を見つけ、運命の結末を迎えることができるのでしょうか。心温まるSFファンタジーが、今ここに。


「一緒に、私の名前、探してもらえませんか?」

これは、
信越《しんえつ》の田舎を舞台に
ぼくと愛理栖《アリス》が 名前をさがし旅をする
ある夏・ものがたり。

※完結までストック有

主な登場人物

•ひかる
長野県の天文台で働いている25歳の青年。

•愛理栖《ありす》
ひかる の前に現れた中学生の少女。
長い水色の髪と栗色の瞳が特徴的。

•愛理栖のおばさん
ズボラな性格の30歳の女性。

•空《そら》
30歳の女性写真家。
山で一人自給自足の生活をしながら大自然をテーマに写真を撮っている。
女性にしては短髪の髪を後ろで結い、
長袖のポロシャツにジーンズに登山靴と、
みるからに登山家を思わせる服装をしている。


•小学生の頃の空《そら》
自称 あたし
母を早くに亡くし、家庭は貧しく、父親からは虐待を受けていた。

•みどり
『空』の小学校の頃のクラスメートで親友。
穏やかな口調で話す心の優しい女の子。

•奏《かなで》
新潟の港町出身の20才の女性。
東京に上京し、ギター片手にシンガーソングライターを目指し頑張っている。

•詩織《しおり》
奏の妹。
実家近くの総合病院に長く入院している。
童話作家を目指し頑張っている。




彼らは……

『神さまの目で見ると、日常の様子はこんなにも変わるんだね!』


『そう、世界は見えない”かたち”で成り立っていますから』


『え?彼らは誰かって?

覚えていないのは無理ないよね?

彼らは……君……だよ』

 これはさ、あくまで例えば……の話しだよ。君の『脳』がもし、目には見えない別の場所にいる君の『意識』から何か大切なメッセージを受け取っているんだとしたら。

僕がこのを君に真剣に話したとして……

君は僕の話を信じてくれるかい?




※※※

「ねえ、お父さん?どうしてもわからないから教えて!」


「どうしたんだ、ひかる?」


「夏休みの自由研究でサイコロを描いているんだけど、途中で分からなくなったんだ。

点を動かすと線になるよね?」


「ああ、そうだな」


「その線を同じ長さだけ動かすと正方形になるよね?でも、その正方形をもう一度動かすと難しいんだ」


「ひかる、同じサイズの正方形をもう一つ、半分以上が重なるくらい斜め上に描いて、2つの正方形の四つの角同士を四本の線で繋いでみるんだ。」


「お、サイコロみたいになった!

でも、ちょっとこれ横長だね。」


「こんどは正方形同士が重なる部分を今より多くして、繋げる四本の辺が少し短くなるように描いてごらん」


「本当だ!今度はサイコロっぽい」


「ひかる、よくできたな。すごく賢い子だよ」


「ありがとう、お父さん。嬉しい!」


「最近忙しくてなかなか会えなかったけど、

父さんはひかるが大きく成長していて本当に安心したよ」


「ねえ父さん、もう一つ質問してもいい?」


「ああ、もちろんだ」


「このサイコロをさらに平行移動させようとすると、絵がぐちゃぐちゃになって上手く描けないんだ。どうやって描いたらいいの?」


「それはまだひかるには難しいかもしれないな」


「でも知りたい!教えてよ、お父さん」


「わかった。父さんがサイコロを平行移動させた図を描いてみせよう」


「父さん、この図ってアスレチックみたいだね」


「そう思うだろ?でも違うんだ。

これはサイコロを今までの縦・横・奥行きとは別の方向に平行移動させた図だ」


「え、嘘でしょ?内側のサイコロは小さいし、外側のサイコロと内側のサイコロを結ぶ線も長さも角度も違うじゃん」


「例えば、小さな紙風船を作って、その表面にママの顔を大きく描いてみよう。

それをハサミで切り抜いて画用紙に貼り付ける。ひかる、どうなると思う?」


「え、わからないよ、降参!」


「では正解を言うぞ。ママの顔が歪んでしまうんだ」 


「パパ、それホントなの〜?」


「その目はパパを疑ってるな?

ひかるの部屋には地球儀と世界地図があるだろ?」


「あ、うん」


「世界地図のロシアと地球儀のロシア、形が違うのはわかるか?」


「うん、確かに違うね」


「地球という丸いキャンバスにある国の形を平面の地図にそのまま当てはめると歪むんだ」


「なるほど!父さん、なんとなくわかったよ!」


「賢いな、ひかる」


「ところで、父さん?縦・横・奥行きの他に、どの方向があるの?」


「次の方向か。それについては父さんもまだよくわからない。ただ……、


パパやひかるには気が付けていないだけで、本当は案外身近にあるのかもしれないね」


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