『神さまの目で見ると、日常の様子はこんなにも変わるんだね!』
『そう、世界は見えない”かたち”で成り立っていますから』
『え?彼らは誰かって?
覚えていないのは無理ないよね?
彼らは……君……だよ』
これはさ、あくまで例えば……の話しだよ。君の『脳』がもし、目には見えない別の場所にいる君の『意識』から何か大切なメッセージを受け取っているんだとしたら。
僕がこの
君は僕の話を信じてくれるかい?
※※※
「ねえ、お父さん?どうしてもわからないから教えて!」
「どうしたんだ、ひかる?」
「夏休みの自由研究でサイコロを描いているんだけど、途中で分からなくなったんだ。
点を動かすと線になるよね?」
「ああ、そうだな」
「その線を同じ長さだけ動かすと正方形になるよね?でも、その正方形をもう一度動かすと難しいんだ」
「ひかる、同じサイズの正方形をもう一つ、半分以上が重なるくらい斜め上に描いて、2つの正方形の四つの角同士を四本の線で繋いでみるんだ。」
「お、サイコロみたいになった!
でも、ちょっとこれ横長だね。」
「こんどは正方形同士が重なる部分を今より多くして、繋げる四本の辺が少し短くなるように描いてごらん」
「本当だ!今度はサイコロっぽい」
「ひかる、よくできたな。すごく賢い子だよ」
「ありがとう、お父さん。嬉しい!」
「最近忙しくてなかなか会えなかったけど、
父さんはひかるが大きく成長していて本当に安心したよ」
「ねえ父さん、もう一つ質問してもいい?」
「ああ、もちろんだ」
「このサイコロをさらに平行移動させようとすると、絵がぐちゃぐちゃになって上手く描けないんだ。どうやって描いたらいいの?」
「それはまだひかるには難しいかもしれないな」
「でも知りたい!教えてよ、お父さん」
「わかった。父さんがサイコロを平行移動させた図を描いてみせよう」
「父さん、この図ってアスレチックみたいだね」
「そう思うだろ?でも違うんだ。
これはサイコロを今までの縦・横・奥行きとは別の方向に平行移動させた図だ」
「え、嘘でしょ?内側のサイコロは小さいし、外側のサイコロと内側のサイコロを結ぶ線も長さも角度も違うじゃん」
「例えば、小さな紙風船を作って、その表面にママの顔を大きく描いてみよう。
それをハサミで切り抜いて画用紙に貼り付ける。ひかる、どうなると思う?」
「え、わからないよ、降参!」
「では正解を言うぞ。ママの顔が歪んでしまうんだ」
「パパ、それホントなの〜?」
「その目はパパを疑ってるな?
ひかるの部屋には地球儀と世界地図があるだろ?」
「あ、うん」
「世界地図のロシアと地球儀のロシア、形が違うのはわかるか?」
「うん、確かに違うね」
「地球という丸いキャンバスにある国の形を平面の地図にそのまま当てはめると歪むんだ」
「なるほど!父さん、なんとなくわかったよ!」
「賢いな、ひかる」
「ところで、父さん?縦・横・奥行きの他に、どの方向があるの?」
「次の方向か。それについては父さんもまだよくわからない。ただ……、
パパやひかるには気が付けていないだけで、本当は案外身近にあるのかもしれないね」