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第11話

 防御魔法に阻まれたゴブリンは、吹っ飛ばされたゴブリンもいれば、ジュノス団長が斬り殺した。結界越しにだが、オーエンには見えていた。ゴブリンが守ろうとしている美しい女性の姿を。女性とオーエンの目が合った。何だあれは。沈ませてしまったくまちゃんが数日前に、話していた事をオーエンは思い出した。くまちゃんの事を気に入っていたのにな。


「女を見た」


「女。なっなにそれ」


 部屋でうさぎちゃん人形を作っていた時だ。オーエンにはあの体質だけでなく人ならざるものが見えてしまう。魔力とは違う霊力が付与されてしまったようだ。


「美しい女だ」


「うっ美しい女」


「ゴブリンを従えていた。なんらかの術か。

 気を付けろ。僕はもうすぐいなくなるからな」


「いなくなる」


「また代わりを作ればいい」


 なんで今更思い出したのだろう。また代わりを作れば良いと言ったくまちゃん。なんで投げてしまったのだろう。代わりなんていない。分かっていたはずなのに。


「ああ。また間違えた」


「泣いている場合ではない。オーエン。なぜ泣いている」


「なっな泣いてなんて、あれ」


 声が聞こえる。なんだろう。悲しみや怒り。焦燥。


「た、たすけて」


 結界をすり抜けた美しい女。両手を伸ばしオーエンに向かって飛んでくる。


「ディ、ディグリス副魔法長。ブップランFでっです。

 すっすすみません。あっあとおおお願いしま、します」


 美しい女が、オーエンに触れるとゴブリンと共に姿を消した。

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