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第9話

 オーエンのリュックから4つの宝箱が出てきた。サイズは60ぐらいの宝箱。


「なんだ。これは」


「ただのたっ宝箱型のマジックボックスです」


「マジックボックス。これ全部か。小さなリュックに入っている。

 まさかリュックもそうなのか」


「おっお驚き過ぎですよ。ディグリス副魔法長。マジックバックなんてだっ誰でも持っていますよ。たった宝箱のなっ中身は、赤色が魔導具が入った箱。みっ緑はいろんな機能がついたスクロールや地図。きっ黄色は武器、防具、着替え。むっ紫は薬草や薬、食材。しっ白はやっや野外で使う色々。てっテントとか調理器具でっす。変なものははっ入ってませんから」


 ため息と共にディグリス副魔法長がしゃがみ込み下を向いている。副魔法長の姿をオーエンは初めて見た。


「どっどど、どうしたのですか」


 怖がりで人見知りのオーエンでも、すぐさまディグリス副魔法長に駆け寄り、同じように彼の左横にしゃがみ込む。顔を上げたディグリス副魔法長はオーエンの方を見る。


「オーエン。お前がやる事は人見知りを直す事でも、他人と話すことに慣れる事でもない。どこかに置いてきた常識を探し出すのが先だ」


「じょっ、常識はさっ探しだっ出せるの。しっ、知らなかった」


「馬鹿にしているのか。まぁいい。ほいほいマジックバックが作れるわけないだろ。国宝級の代物だ。売れば一生遊んで暮らせる」


「そっ、そうだったの。しっしら、知らなかった。

 すみませんでした。教えてもらったことがなかったので。」


「お前の常識を調べていない俺の責任でもある。普通なら家族が教えてくれるはずだ。お前の場合は仕方ない。ともかくだ。まずは、うさぎちゃんが言っていた翻訳機だけ出せ。今直ぐだ」


「わっわか、分かりました」


 赤色の箱から魔物翻訳。使った事のない試作品で、マイク型をした翻訳機だ。


「作りはしましたけど、ディグリス副魔法長。つっ使った事があっありませんから」


「使っていたら、逆に問題だ。ゴブリンを見つけたのに放置いや、人形を使って森を調べゴブリンの生態を知ったのに報告を怠った。始末書は覚悟しておくように。何故マイク型なんだ」


「新聞屋がインタビューするのに使うってきっ聞いたので。

 魔物にインタビューかっかっこいいかなと思って。始末書は勘弁して、して欲しいです」


 魔物にインタビューするのが、かっこいいわけがないだろ。再びディグリス副魔法長に怒鳴られ、今回は至近距離の怒りの声にオーエンは身を震わせた。

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