オーエンは整列する前に降ろしてもらったものの、怖くて震えていた。目の前に獣人や、魔族、人間、エルフの騎士団の面々が勢揃い。一際目を引くのら団長の第1王子。魔族ではないのに、褐色の肌に真っ黒狼の耳。ふさふさの黒い尻尾が見えた。顔が怖い。迫力のあるオーラが怖さをより一層増している。全員がオーエンを見ているように思えてならない。
「ゴブリン討伐を行う。第1騎士団ジェノスだ」
「副団長エープリル。よろしく~」
どうやらリーダーだけが挨拶するようだ。ディグリス副魔法長は揶揄う為にあんな事を言ったようだ。人が悪い。前に出なくても良かったのではないだろかとオーエンは思う。
「魔法省の副魔法長ディグリスだ。今回は西棟の魔法使いが応援にはいる。サンとセングレン。オーエン」
「……」
エルフ族のサンは何も言わずに頭を下げる。
「ふわぁ、お願いしまーす」
眠そうな顔をした魔族のセングレンは欠伸をして軽く頭を下げた。
「よっよよろしくお願いします」
オーエンは深々頭を下げた。これで終わりだと安心していたら、ディグリス副魔法長がとんでもない事を言い出した。
「サンとセングレンは副団長の指示に従うように」
ディグリス副魔法長がオーエンを見て、おまえは団長の応援だと言った。