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第3話

 騎士団練習場では第1騎士団の面々が物資や食料調達。忙しそうにしていた。


「あばばばばばばば。あっああ、ディグリス副魔法長。ひっひと人が多すぎます。気持ち悪い」


「オーエン。ここで吐くなら一生外仕事になるが、それでもいいなら、吐いていい。おまえにとっては地獄だろうがな」


「がっ我慢します。ディグリス副魔法長。1。1日でおわ、終わりますよね。これ。なっ何を討伐すっするですか」


「言っていなかったか。泊まりだ。1泊2日でゴブリン退治。

 魔法使いはおまえと西棟の魔法使い数名」


 ゴブリン。繁殖力が魔物の中で1番で。洞窟や暗がりに巣を作り、1番強い者がゴブリンキングとなり、洞窟の最奥で他のゴブリンに指示を出し、踏ん反り返り生活している。ゴブリンキングを倒さない限りはゴブリンの繁殖は止まらない。


「ごっごゴブリン」


「嫌いか。油断をしなければ平気だ」


「ゴブリン。あいつらはディグリス副魔法長以上に変態なんだ。

 嫌だ行きたくない。ただでさえ、太陽ギラギラで最悪なのに。

 ぼっ僕がなっな何か、しっしましたか」


「ほう、おまえ触れられたいらしいな」


「はっ、ちっちが違いま……っ」


 避けるまもなく右手に触れられ、ディグリス副魔法長の心の中で思っていることが、まずは流れてきた。


(面白い。楽しいなぁ。怯えた顔が良いねぇ。もっといじめたくなっちゃうなぁ。魔法長も一緒に来るって言ってたけど。面白いこと独り占めしたいから仕事増やした。戻って来たらいっぱい話してあげよう。愛しい恋人に)


 ディグリス副魔法長と魔法長は恋人同士。男同士のカップルも珍しくない。魔法薬で子どもを作る事も出来る。オーエンは左手に触れられたり、自分で人や物に触ると心の声が聞こえ、右手で触れれば今から3時間後までの未来が見える。頭に触れられると触れた者の過去が見える。体質だ。父や母はそんなオーエンを道端に3歳の頃、置き去りにした。オーエンは家族を知らない。恋人なんて自分には考えられない。ディグリス副魔法長の声はオーエンには気色悪さでぞわぞわする。


「気持ち悪る。変態。だっだからいっ嫌なんだ。ディグリス副魔法長に触られるの。かっ勘弁しっしてください」


「気持ち悪いか。もっと聞くか」


「おっおお断りします」


「遊ぶのは終わりだ。行くぞ」


 いつの間にか、忙しそうに動いていた騎士団の面々が整列をしていた。出発の時間のようだ。


「行こうかオーエン。自己紹介をしないとな」


「だっだ誰が」


「我々だ。おまえもだ」


 逃げようとしたオーエンをディグリス副魔法長が浮遊魔法で持ち上げて、歩き出した。

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