ひら ひら と。
目の前を、蝶々が横切って行った。
白い胴体。透き通った羽。
羽ばたく度に、キラキラと光る鱗粉が舞い散る。
日を照り返して、とかじゃなくて。
鱗粉自体が、瞬いている。
クリスマスの時期になると、チカチカと町を彩る電飾。
あれの超極小サイズ・白オンリーがまき散らされている…………いや、それよりはもっと優しい感じの光かな?
綺麗で。不思議で。
思わず、手を伸ばす。
蝶々を追いかけて、手を、伸ばしてしまった。
何か。素敵なことが起こりそうな。
そんな予感がして。
伸ばした指先が、超極小電飾の奇跡に触れて。
瞬きを一つ。
瞼を下して。
瞼を上げる。
たったそれだけの間に。
世界が反転していた。
…………一転した、でもいいかもしれない。
兎に角。
世界は様変わりしていた。
結論を言おう。
あたしは。
蝶々に騙されたのだ。
白くて綺麗だから、てっきり縁起物だと思ったのに。
とんだ呪いの蝶々だったよ!!