次の日、この日から師走だ。
「正男君、今月の25日、クリスマスよ。飾りつけをしてきちんと迎えようね」
美恵子が言った。家の外と中を飾るけど、あまりやりすぎると邪魔になるかもしれないので、それなりに調整が必要だ。どうしたいかということを里香にも尋ね、リクエストを聞くことにした。
「里香ちゃん、クリスマスの飾りだけど、どうしたい?」
「家の中には絶対ツリーが欲しい。家の外にはキラキラきれいな明かりをつけたい。夜でもお家が分かるようにしたい」
「分かった。全部を一度にというのは難しいけど、少しずつみんなで買い物に行って揃えましょう。通販でも売っているみたいだけど、実物をみんなで見て、気に入ったものを買う方が良いでしょうから、お昼を食べたら3人で見に行きましょう」
「サブちゃんとモモちゃんは?」
「そんなに長い時間じゃないので、お留守番してもらいましょう」
美恵子の言葉に少し不満げな里香だったが、短い時間ということで納得した。
昼食後、予定通り3人は買い物に出かけた。買うものの量が分からないところもあったので、車で行くことにした。1ヶ所だけでは済まないのではという思いもあり、クリスマスツリーとなると郊外のホームセンターにも行かなくてはならない。ということで車という選択肢になったのだが、美恵子の運転で出かけた。
「今日、何を買うの?」
里香が尋ねた。美恵子の頭の中には最も大きな買い物になるクリスマスツリーをイメージしていた。他に気付いたものがあれば一緒に買うが、メインは決まっていた。
ほどなく最初のホームセンターに着いた。クリスマスツリーの売り場を尋ね、3人で向かうが数が少なく、サイズも小さなものばかりだった。見ただけでこれでは駄目と思い、早々に次の店に向かった。
そこは車で10分ほどの場所にある。先ほど同様、まっすぐクリスマスツリーの売り場に向かった。ここにはイメージ通りの大きさのツリーがあったので、すぐに店員の人に声をかけ、購入の旨を伝えた。
「ありがとうございます。このままお持ち帰りいただくこともできますが、車に載りますか?」
「僕、持ッテ行クヨ」
正男が言った。でも車のサイズがある。
「ありがとう。でも、この大きさでは持ち帰るのは難しいみたい。申し訳ありませんが、配達していただくことはできますか?」
美恵子は正男に感謝した後、店員の人に配達を依頼した。
「もちろんできます。配送料がかかりますし、明日になりますが、よろしいでしょうか?」
「はい、結構です」
美恵子はそう返事して、レジへ行き、支払いと伝票に住所などを記入した。
「ツリー用の飾りとか、電飾などの売り場はどこになりますか?」
案内してもらい、いろいろな飾りを購入した。サブとモモに留守番を頼んでいるので、必要なものを買い込んだら、車に乗り込んだ。その荷物は正男が持っていた。
「正男君、ありがとう。助かるわ」
美恵子は感謝し、その言葉に正男はニッコリしていた。