ちょっと、そこのあなた。
何をそんなに怒っているんですか?「短気は損気」ってよく言うでしょう。あの徳川家康は「怒りは人生最大の敵である」と言っていたそうですよ。
どうしても怒りが収まらなくなったあなたに、『アンガーマネジメント』という良い方法をお教えしましょう。これは1970年代に、アメリカで生まれた手法なのです。
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あなたは今電車に乗っています。今日も満員電車でぎゅうぎゅう詰めだ。あなたはイライラしています。あなたの降りる駅に到着しました。でもなかなか降りることができません。おや、出口ドア付近で踏ん張って動こうとしない人がいます。
あなたはどうしますか?
「蹴り降ろします!」
ああ、だめです。こういうときには6秒間待ちましょう。6秒待てば・・・・・・あら不思議。さきほどの怒りが、だいぶ収まっているはずです。
「6秒数えました。ぶん殴ってやります!」
だめだめ。
それでは次に、晴れた日に前を歩くひとが傘を持っているとしましょう。ところが傘の先端を後ろにして歩いているので、あなたに刺さりそうです。
あなたはどう思いますか?
「この野郎。傘を奪ってぶっ刺してやる」
やあ、いけません。ここはまず、あなたの怒りが10点満点中の何点なのか自己診断してみましょう。
「10点です。刺します」
だめだめ、そんな些細なことで。じゃあ次です。
あなたは歩行者専用道路を歩いているとします。そこへ自転車がわが者顔で走ってきてベルを鳴らしました。
あなたはどう思いますか?
「引き倒して、蹴りを入れます」
やあやあ、いけませんね。それでは深呼吸をしましょう。はい吸って・・・・・・。吐いて・・・・・・。どうですか?
「許せません。トドメを刺します」
ちょっと待ってくださいよ。ええと、それでは次の事例を。
あなたはわりと混雑している電車に乗っているとします。
「またですか」
お年寄りや妊婦さんが立っている目の前で、優先席に平然と足を組んで座り続ける若者がいました。しかも若者のイヤフォンからシャカシャカ音楽が漏れています。
あなたはどう思いますか?
「ボコボコにしてやります」
ううん。いけませんね。こういう時には100から3ずつ引き算をしてみましょう。固執した心を別の場所に移すことによって、冷静さを保つことができるのです。
「97、94、91、88、85、82、79、76、73・・・・・・やっぱりボコボコにしてやります!」
困りましたねえ。それでは次の事例はどうでしょう。
あなたは飲食店で食事をしています。隣の席のひとに、誰かから携帯に電話がかかってきました。隣のひとは、悪びれることもなく大声で話しをはじめました。
「携帯電話を叩き潰して、膝蹴りを入れてやります」
いやいや、こういう時はですね、『セルフ・トーク』をしてみましょう。例えば、「大丈夫、大丈夫・・・・・・」とか「なんとかなるさ」とかですね。
「大丈夫、大丈夫。なんとかなるさ・・・・・・でもおれには無理だ。このうるさい客をぶっ殺してやる」
あのねえキミ!
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「・・・・・・で、先生はとうとう怒りが抑え切れなくて、この患者に手をかけてしまったと」
「すみません刑事さん。殺すつもりはなかったのですけど・・・・・・」