きれいな白鳥として生まれ変わったあひるの子は、今まで自分をいじめてきた兄弟アヒルたちを散々馬鹿にし、コケにして溜飲を下げてから、意気揚々と他の白鳥たちのところへ行きました。
「こんにちは。私も仲間に入れてもらえませんか」
「あら、見慣れない顔ね。どちらからいらっしゃったの」
あひるの子は、ここぞとばかりに自分の半生を切々と語りました。事情を知った白鳥たちは、たいそう気の毒がって、口々に慰めの言葉をかけます。しかし。
「なんて可哀相なの。やはり苦労してこられたからかしら、あまり毛並みが良くないみたいね」
「いつも、どのようなケアをしてらっしゃるの? え、何も? あらまあ……」
どうやらあひるの子と、生まれながらの白鳥たちとの間には、埋めがたい溝があるようです。