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2章 第3話

「アクションとホラー、ラブストーリー、どれがいい?」


ドキドキしながらお風呂を終え、さっきベッドで見つけたワンピースを着てリビングに戻ってみれば。


嶽丸はソファにゆったり座って、同じくベッドで見つけたらしい男性用パジャマを着て、大きな画面のテレビを操作していた。


…ベッドで待ってないんだ。


ちょっと意外だったけど、またいつもみたいな嶽丸に戻ってて、ちょっと安心してソファの隣に腰掛ける。


ソファはずいぶんロータイプで、フカフカのラグマットが素足に気持ちいい。


座った私に視線をよこした嶽丸が、ジッと私を見た。



「ちょっと貸して!」



…なに固まってるの?

嶽丸からリモコンを奪って、私はホラー映画を選んだ。



「映画観るんでしょ?だったらコレにしよ」



ずっと観たかった…という私が選んだのは、いっとき流行ったホラー映画。嶽丸は…微妙な空気を醸し出してる。


「…コレ?」



「あれ?…もしかして怖いの…?」


「…うん」



素直な返事に心が躍る…可愛い…!!



「一緒に観れば怖くないよ。…ね?」


「うん…」



なにこれ…!さっきの妖艶さが嘘みたい!


「…じゃ、怖い場面では隠れたいから、美亜が前に来て」


嶽丸はそう言うと、スルリと後ろに移動して、私を自分の足の間に閉じ込める。


そしてウエストにゆるく腕を回して、「スタートしていいよ」と言った。


…後ろにいてくれて良かった…と思う。

嶽丸に密着されて、顔が赤くなるのがわかったから。


………


…そのままどれくらいたっただろう。ふと気づくと、ソファに横になっていて、背もたれ側に嶽丸が横向きに寝転んでるのがわかる。


画面はエンドロール…


もしかして、私寝ちゃった…?


起きようとしたけど、足の間に何か挟まっていることに気づく。



「起きた…?」


嶽丸の低い声…

瞬間、足に挟まっているのは嶽丸の足だとわかった。


「…ちょっと、なに、して…」


わざと…してる。

間に挟んだ膝で、ぐいっと股間を押されて、変な声が出てしまう。


「俺、もう限界なんだけど?」


「え…だって、映画…」


「多分寝るだろうと思ったから流したの。美亜、疲れてるだろ?まずは寝かせてやりたかったから」


…そうなの…?

ねぇ…それって、すごく優しい思いやりじゃない?


私好みのご飯もそうだし、こんな綺麗なホテルに連れてきてくれて、その上ちゃんと疲れてるのを見越してまずは寝かせてくれるなんて…



「でも、眠る美亜を見守り続けてきたから、もう限界。いろいろイタズラしてやった…」



それが…足の間の、膝…?

やること高度すぎん?



茶化してそう言ってやろうと思ったのに、嶽丸が私を見る目が熱い。

その大きな手が仰向けに横たわる腰骨をとらえ、そこから意味深な手つきで下がっていく。


ワンピースの上から太ももを撫でられるけど、それはツルツルした薄い生地…手の熱さが伝わってくる。


内股のあたりにたどり着いた手は、わざと裾を捲りあげながら、ウエスト…そして胸元をたどる。



ボタンをゆっくり外されて、パジャマを剥かれれば、ラベンダー色の下着だけになってしまった。


「…はぁ…綺麗…」


嶽丸の目が私をとらえて離さない。私はそっと上体を起こして、正面から向き合った。


触れる手と同じ、撫でるような視線が、起き上がってその膨らみをあらわにした胸元に注がれて、私も嶽丸のパジャマのボタンを外した。


スルリと落ちた後にさらされた嶽丸の上半身は、さっきより少し火照って見える。

それを目にしただけで…私の中は、受け入れたくて仕方なくなっているってわかった。


こんな早急な気持ちは初めて…


でも、情欲だけではない、愛しい気持ちを感じてる…

今までの恋人とのまじわりは、なんだったんだろ。触れ合う肌が気持ちよくて、安心で…こんな気持ちも初めてで…もう触れたくてたまらない。


触れて、この気持ちが何なのか知りたい。


嶽丸の喉仏が上下に動いて…男をさらけ出した熱い視線に、私の喉も動いた。


プツン…と背中のホックを嶽丸が外して、むき出しになった胸に長い指がかかる。


「は…あぁ…」


思わず漏れる声を吐息でごまかそうとして…嶽丸にそれごと食べられるように唇を塞がれ、押し倒された。


今まで、何度か交わしたキスは…かなりセーブしたものだったと知る。


せわしなく動く舌に絡め取られて、角度を変えて、もっと深く…もっと欲しいとねだられるみたいなキス…


こんなにキスが気持ちいいなんて思ったことなかった…

今までキスはあんまり好きじゃなかったから。


でも嶽丸とのキスは別。…大好き。


私も…もっとしたい。

そんな思いは、嶽丸にも伝わってるかな…


自分でも意外なほど早く…深く嶽丸を求めた。


すべてが気持ちいい。全身で感じる…嶽丸の手も、声も、吐息も…


そして…私は大胆にも、嶽丸のパジャマのウエスト部分に手をかけた。






「…寒くない?」


裸の私を、裸の嶽丸が包み込むように抱く。


「うん。全部気持ちいい…」


「なにそれ…可愛いんだけど」


本当にすべてが気持ちよくて、何もかも安心で、こんなに素直に男の人に体を預けたことはなかった。


それはきっと、嶽丸は女の人にすごく慣れてるからなのかな…



でも…こんな気持ちよさを知ってしまって、私は大丈夫なのかな…



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