目が覚めてからしばらくわたしはぼーっとしていた。
最初、ここはどこだろうと思った。頭の中がぼんやりする。体が重くて仕方なかった。
目だけ動かして周りを見ると病院だということが分かった。そう言えば消毒液の匂いがする。周りには誰もいない。個室みたいだ。近くにあった機械がランプを点滅させている。
なんでこんなところにいるんだっけ? …………あ、そうだ。プリン。クリームがのったやつ。買ったんだ。あれ? それから…………。
記憶が次々と蘇る。大きな音。悲鳴。そしてライト。
そうだ。事故に遭ったんだ。怖かった。いや、怖いと感じる前に意識がなくなった。
ああ。そうだ。コンクール。こんなに体が重いと出られない。最悪だ。でも今から頑張ればなんとかなるかな? 今って何日?
そう思って頭を動かしてカレンダーを探す。すると小さなデジタル時計の横に日時が表示されていた。だけどここからじゃよく見えない。
どうにかして確認しようと手を伸ばした時だった。
「……………………………え?」
唖然とすると同時にまだ夢でも見ているんじゃないかと思った。
右腕の肘から先がない。
手を動かそうと思ってもなにも動かない。いつも感じていた重さがなくなっていた。
頭が真っ白になった。