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第2話

 目が覚めてからしばらくわたしはぼーっとしていた。

 最初、ここはどこだろうと思った。頭の中がぼんやりする。体が重くて仕方なかった。

 目だけ動かして周りを見ると病院だということが分かった。そう言えば消毒液の匂いがする。周りには誰もいない。個室みたいだ。近くにあった機械がランプを点滅させている。

 なんでこんなところにいるんだっけ? …………あ、そうだ。プリン。クリームがのったやつ。買ったんだ。あれ? それから…………。

 記憶が次々と蘇る。大きな音。悲鳴。そしてライト。

 そうだ。事故に遭ったんだ。怖かった。いや、怖いと感じる前に意識がなくなった。

 ああ。そうだ。コンクール。こんなに体が重いと出られない。最悪だ。でも今から頑張ればなんとかなるかな? 今って何日?

 そう思って頭を動かしてカレンダーを探す。すると小さなデジタル時計の横に日時が表示されていた。だけどここからじゃよく見えない。

 どうにかして確認しようと手を伸ばした時だった。

「……………………………え?」

 唖然とすると同時にまだ夢でも見ているんじゃないかと思った。

 右腕の肘から先がない。

 手を動かそうと思ってもなにも動かない。いつも感じていた重さがなくなっていた。

 頭が真っ白になった。


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