目次
ブックマーク
応援する
3
コメント
シェア
通報

プロローグ

プロローグ 夢の始まり


空には限界がない。少年タケルは、その話を心の底から信じていた。

タケルにとって自転車はただの交通手段ではなかった。それは夢を追いかける翼であり、空を自由に舞うための魔法の乗り物だった。

太陽がちょうど山の端にかかる頃、タケルはいつものように古びた自転車に跨がった。ペダルを踏むたびに自転車が奇妙な音を立てながら輝き始め、そして、ある瞬間、ふわりと身体が宙へ持ち上がった。

村全体が模型のように小さく見える。村の中央を流れる川はヘリオス川だ。川が銀色のリボンのように煌めいている。

宙を舞う自転車はタケルを月明かりの道へと導いていった。

「星がこんなに近くに!」

タケルは空の匂いを深く吸い込み、両手を天に伸ばした。星々が手の届く場所にあるかのようだ。タケルは星座を指でなぞり、夜空の地図を心に描いた。

自転車が雲を越えて、さらに高く、舞い上がって行く。

「あれは一体……」

タケルの目は遥か彼方に広がる景色に釘付けになった。遠くから聞こえる古の鐘の音がタケルの心を高鳴らせる。タケルは心の声に導かれるようにシルエットに近づいて行った。

「まさか、アエリア?」

視界の霧が徐々に晴れ、神秘的な光がタケルを包み込んだ。壮大な門がそびえ立ち、その背後には天を突く塔や石造りの家々が広がっている。

タケルの目の前に広がっている光景は、まさに古代都市アエリアだった。

息を呑むような美しさに立ち尽くしていると、突然、空気が震え、星々が一斉に動き始めた。

巨大な天球儀が夜空に浮かび上がっていく……。天球儀には星々だけではなく、多種多様な動植物も描かれている。タケルは驚嘆し、そして思索に耽った。これは宇宙の生命網の地図ではないか。

「ユウも連れて行かないと」

そう呟き、タケルはペダルを逆に回し始めた。自転車がゆっくりと降下していく。

地上に降り立った時、タケルの心には夢と希望に満ち溢れていた。これから新たな旅が始まる。

タケルは空を見上げ、未来への期待を膨らませた。


この作品に、最初のコメントを書いてみませんか?