それは放課後になると現れるという謎の女生徒の話。
廊下ですれ違うこともあれば、いつの間にか教室にいることもある。
誰だろうと振り返った時には姿はなく、教室を出ていく姿を見つけて追いかけても、やはり廊下のどこにもその女生徒はいない。
それは過去に学園で自殺をした生徒だと言う者や、病気で学園に通いたくても通えずに亡くなった女生徒だと言う者もいる。
しかしその存在を実際に見たという人に、誰かが直接話を聞いたという話も聞かない。
それでも――「見知らぬ女生徒」は実在し、放課後になれば学園内を徘徊している。
そう
「皆も知っての通り!
昼休み。僕は新聞部の部室に集合するように連絡を受けた。
僕たち部員を前に興奮気味に話をしているのが、この新聞部の部長である
黙っていれば間違いなくイケメンなのに、一度口を開いてしまうとどこか性格が破綻していることが伝わってしまう……。
「知っての通りって、私はそんなの全然知らないけど?」
この部で唯一、そんな部長にツッコミを入れられるのが、副部長である
唯一とはいっても、部員はここにいる3人だけなんだけど。
「何?!こんな面白そうな話を知らないだと?!お前はそれでも新聞部か!」
「新聞部ならそんな面白そうな話を逆にこちらが広める側なんじゃない?完全に出遅れてるじゃない」
「違う!我々新聞部の目的は、その噂の真相を確かめ、そこに隠された真実を紐解き、最終的には難問難題、複雑怪奇な謎を解くことだ!」
いや、そうじゃない。
取材して記事にするのが新聞部だ。
「まあ、その目的には私も同意はするわ。その話自体には興味あるもの」
同意しないで。
興味はもっても、同意はしないで。
「で、その女生徒を見たっていう人が誰だか分かっているの?誰も見たという人から直接話を聞いたことが無いっていうのが、学園七不思議の「見知らぬ女生徒」だったんじゃなかったかしら?」
ちなみに七不思議とはいっているが、実際に挙げていくともっとあるから不思議だ。
「七不思議ではない七不思議」。これもその一つ。
「それに関して抜かりはない!すでに情報の発信源は突き留めている!」
「そうなの?じゃあ手間はかからなさそうね。ホームズにしては珍しい。明日くらい廃校になるんじゃないかしら?」
なかなかに辛辣ー!
部長の威厳はどこにもないな……。
「ああ!この噂を聞いてすぐ、迅速に調べはつけてある!なあ、ワトソン君!」
「あ、はい。情報の発信源は3-Cの
そう、調べたのは全部僕だけどね。