ことりいしの
ミステリーサスペンス
2024年11月26日
公開日
3.4万字
連載中
2022年2月、埼玉県のマンションの一室で42歳の女性が殺される事件が起きた。殺されたのは、星川聖子。夫を早くに亡くした未亡人であった。そして事件からしばらくして、息子の星川斎月が実母殺害の容疑で逮捕される。斎月は県内有数の進学校に通う男子高校生で、伏せがちな母を献身的に支える優しい息子でもあった。
――果たして、そんなふたりに何があったのか。
その真実は不明のまま、世間は事件が起こったことさえ忘れ去っていた。
そんなある日のこと。
零細WEB雑誌の新人記者である仁野実春は、上司から命じられ、星川親子の殺人事件を取材することに。「なぜ、息子は母親を殺したのか」を追うことになる。だが、そこには問題があった。というのは斎月が「少年」であり、少年院へ収容されているため、取材が行えないのである。そこで実春は、複数の関係者や親族、ネットの書き込みなどを中心に取材を行うこととした。
これは、実春の取材の記録とそれに伴う「事件が起こった理由」の考察である。
「私は、これを、文字にして、記事にして、世のなかに発信して良いんだろうか……?」
※ジャンルについてですが、サスペンスなのか本格なのかわからず、とりあえずサスペンスにしております。
※セルフレーティングについては殺人事件を取り扱っている作品なので、一応、つけています。
※ほぼ同じ内容をカクヨムさんでも連載しています
※サイレントでも誤字脱字その他修正を行うことがあります
【資料①】2022年2月10日毎報新聞朝刊
9日午後3時ごろ、埼玉県K市東3丁目のマンションの一室で、「女性が死んでいる」と近隣住民から通報が入った。埼玉県警によると、部屋のリビングから同室に住む主婦の星川聖子(42)が心肺停止の状態で見つかり、その場で死亡が確認された。
捜査一課によると、被害者には腹部に複数個所の刺し傷や切り傷があり、現場からは凶器とみられる刃物も見つかった。同課は現場の状況から、殺人事件とみて捜査を始めた。
現場は閑静な住宅街の一角であり、近隣には小学校や幼稚園なども多く存在する。こうした事態を受け、埼玉県警は警戒を強めている。