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不幸なサッカー少年
毎日楽々
現実世界青春学園
2024年11月24日
公開日
1,298文字
完結
中学3年生の宮本君はサッカー部。サッカーは大好きだけど、万年補欠。朝から練習の日、ギリギリに起きて遅れそう。急いで仏壇のお餅をチンして口に掘り込んだ。練習には間にあったが、悲劇に見舞われることに。。。

[不幸なサッカー少年]

 「サッカーが好きだ!大好きだ!」

 中学3年生の宮本君はサッカー部。でも中学3年間で、一度も試合に出たことがない。万年補欠。要は下手くそ。


 明日は日曜日。でも大会が近いので、朝から練習がある。「あ~あ、また山田先生に怒鳴られるんやろな。嫌やな〜」とため息が出る。

 山田先生はサッカー部の鬼の顧問。いつも何故か宮本君を目の敵にして、見せしめみたいに怒鳴りつける。「こら〜宮本!どこに蹴っとんねん!下手くそ!校庭10周走れー!」 

 「理不尽や。サッカーが好きなだけやのに。どうせ試合に出れんのに。やっぱりオレって不幸もんや」といつも嘆いている宮本君。


 しかし、サッカーが大好きで、真面目な宮本君は練習をさぼらない。ただし早起きが苦手な宮本君。翌日の日曜日も目が覚めたら「ゲー!もうこんな時間や!」ギリギリに起きて真っ青に。

 「どーしょっ!時間がない!そやけど何か食べんと練習に耐えられんぞ!」あたふたとする宮本君。

 「そや!」何かを思いついて、仏壇へ。お供え物のお餅を手に取り「ご先祖様、すいません!お餅をいただきます!許して下さい!」

 急いでレンジでチンして、口に無理やり押し込み「ゴクリ」と飲み込んだ。「う〜、苦しい〜」何とか耐えて家を出る。


 途中、何度も吐き出しそうになりながらも、駆け足で学校に向かう。「やった!練習に間に合った」しかし、この時点で既にヘロヘロな宮本君。


 いつものように、最初の練習はランニング。既にヘロヘロな宮本君は、いきなり皆んなから遅れだす。やっぱり山田先生が「宮本〜!何をしとんじゃー!全力で走らんかい!えーかげんにせーよー!」

 「何でこんな目に当たらなあかんねん!あ〜、つらい。やっぱりオレって不幸もんや」

 寝坊したのは自分なのに、すっかり忘れて、いつものように嘆く宮本君。


 それでも、ヒーヒー何とか走っていたけど、益々気持ち悪くなってきた。餅が少しづつ、胃から食道を上がってきた感じがする。

 「これはヤバイぞ!吐いたら、山田先生にもっと怒られる!絶対に吐くわけにいかん!」と必死に耐える。冷や汗がじわじわ出てきて、口元を押さえつつ涙ながらの苦渋の表情。


 「もうあかん!出てしまう〜!」ついに限界を超える。ランニングの列を離れて、「ゲーゲーゲー」と全部吐いてしまう宮本君。

 「ああ〜、ふぅ〜、お〜」吐いてしまうと、一気に全身から力が抜けて楽になっていく。何とも言えない恍惚感に包まれる宮本君。吐き出したねっとりとした白い餅が、何だか愛おしく見えてきた。


 それも一瞬。すぐに我に返った宮本君。「大変なことをしてもーた!山田先生に怒鳴りつけられる!餅のせい、なんて言える訳ない!」と急いでランニングの列に戻ろうとする。


 そのとき背後で、山田先生の大声が聞こえた。「1年生、2年生!3年生の宮本が吐くほど走っているんや!必死に走らんかい!ちょっとは宮本を見習え!」

 それを聞いた宮本君。呆気にとられて「何や何や!オレ褒められとるんか?山田先生に初めて褒められた!先生は勘違いしてるんか?まーえーか」と何だか少し嬉しくなってきた。


 「お餅さん、ありがとう〜。ご先祖様、ありがとう〜。やっぱりオレって、幸せもんや」


                        おわり







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