朱宮あめ
BL学園BL
2024年11月24日
公開日
9.7万字
完結
優等生の柚月は、周りの期待に応えるため、いつだって自分を殺して生きてきた。
高校生になり、特待生として地元から遠く離れた高校に入学した柚月の前に現れたのは、同じく特待生ながら自由奔放な性格の三石コウ。
ひょんなことから寮がコウと同室になった柚月は、無邪気な彼に振り回されながら、少しづつ影響されていき……。
これは、『特待生』である優等生と劣等生のふたりの青春が閉じ込められた箱庭の物語。
プロローグ
――僕はよく、水のなかにいる夢を見る。
暗いくらい水の底。
水底からは、光がカーテンのように揺らめく水面が見えている。
水面の先、光の向こうにあるのは、いわゆる青い春。
友だちとわいわい騒いだり、恋に落ちたり破れたり。
眩しい。羨ましい。
水面は、線だ。
僕と君を隔てる線。
僕もそっちに行きたくて手を伸ばしてみる。
けれど、どんなに泳いでも身体は沈んでいくばかりで。
僕の声は、だれにも、どこにも届かない。
そう思ってた。
君が、その線を越えてくるまでは。