一方、
『
襲撃を受けた彼らは、必死に態勢を立て直していた。
「なんなんだ、この勢いの強い雨は!」
「こっちに
「落ち着け!
まずは目の前のあの男を対処する事が先だ!!」
事前情報とは異なる予想外の事態に彼らは戸惑いながらも、『時雨』に
目標を定めて印を結び始める。
「だから言っているでしょう?
一方だけに目を奪われてはいけやせんぜ」
「何……!?」
『影』部隊の一人が聞き返すのと同時に、何かが彼らの間を
ものすごいスピードで駆け抜けた。
「時雨ー、雨は苦手にゃ。それにもうこれだけ降らせばいいにゃ」
「女……?」
声の方向を見ると、あれだけ猛烈に降っていた雨は止み―――
そこには長髪を姫カットにした二十歳くらいの女性がおり、
「『
よろしくニャ! という事でぇ~……」
彼女はかがむと、獣のように両手・両足を地に着け―――
「捕まえてみろニャ!
もっともアタシは、捕まえる方が好きなんだけどにゃ♪」
その女性が走り始めた時、『影』部隊はようやくそれが先ほど、
彼らの間を目にも止まらない速さで通過した正体だと理解する。
「く、くそっ!! とにかく何でもいいから
「し、しかし
同時に、止んだ雨の代わりだというように、上にいる『
強風を起こされ、
「! また風が―――
よし、ならばあの『烏天狗』から落とす! 全員上空へ術を放て!!」
隊長の号令で、『烏天狗』にまるで衝撃波のような術式が対空砲火のごとく
撃ち出されるが……暗闇の中、こちらも照準が容易とは言い難く、
その間にも、『猫又』の『麻夜』が引っ掻き回すように、彼らの中を
縦横無尽に走り抜ける。
「た、隊長! このままでは……!」
「一撃だ! 一撃でも与えればいい!
それで敵にもスキが出るはず。その間に離脱を……!」
『影』部隊は何とか現場から逃走する機会を作り出そうとするも、
「足元がお留守なのよねぇ」
「!? 今度は何だ―――」
新手であろう女の声に振り向こうとしたところ、足が動かない事に
彼らは気付く。
「た、隊長! これは!?」
「じ、地面が凍って……あ、足までも」
彼らの足は、いつの間にか凍った地面に、足ごと固定されるように
凍らせられていた。
「さぁて……仕上げよ、『
短髪なボーイッシュの『雪女』が呼ぶと、その声の先に眼鏡をかけた
秘書風の女性が現れ、
「寒かったでしょう? 暖めてあ・げ・る♪」
そう言うと彼女の体は炎に包まれた。