ぶつかり始めた頃―――
もう一つの十六夜部隊『影』にも動きがあった。
「そろそろ15分だ……」
「適当に一撃与えたら引き返すぞ。
こちら側には鬼がいないとはいえ、相手は
それぞれが装備をカチャカチャと音を立てて確認し直していると、
「こんばんは」
「!?」
『影』部隊がその声に驚いて振り返ると、そこには気弱そうな
二十代の青年が立っており、
(いつの間に……!?)
(気配は感じなかったぞ。
(一般人―――ただの人間? いやそれにしては)
彼らが困惑のいると、その青年は構わず話し出し、
「こんなところでサバイバルゲームですか?
それとも何かのコスプレ?
でもいくら田舎とはいえ、深夜に騒ぐのは近所迷惑ですよ。
遊ぶのならお静かにお願いします」
彼の言葉に『影』部隊の面々は顔を見合わせ、
「いやすいません、別に遊びってわけでは……」
「えっと、この近所の方ですか?」
一応一般人として彼らは対応するが、
「ああ、あなたたちが襲撃しようと思っている家にいたんですよ」
その言葉に『影』部隊は一気に反応し、まずは肉弾戦とばかりに
「っ!?」
「何!?」
パンチやキックが青年の体に撃ち込まれたと思った瞬間、
彼の体はゆらりと溶ける。
「幻影か!?」
「いや、妖力は感じる!」
「実体の無い妖か!」
すると『
「まあ僕は元人間でしてね。
人の姿をしている時なら実体はありますよ。
ただご覧の通り、物理攻撃は無駄でして」
その言葉に『影』部隊は素早く後方へ下がり、
「ならば
「これならば効くだろう!!」
各々が両手を組んで印を結び、超常的な攻撃態勢に入るが、
そんな彼らを強風が襲い……
「!? 何だ?」
「空を見ろ!!」
彼らの視線が上へと向くと、そこにはカラスのような羽をまとった妖―――
『
そして彼が起こしたであろう強風と共に、『煙羅煙羅』の姿は
「くそ、厄介な」
「しかし耐えきれないほどでは……む?」
するとポツッ、と小雨が降って来たかと思うと、
「……あ」
「め……?」
彼らが雨だと認識する間も無く、ゲリラ豪雨のような急激な水が
空から降って来て、
「一方にばかり気を取られちゃいけませんぜ、兄さん方」
『影』部隊の気付かないうちに、ボサボサ髪をした青年―――
『