「よし、この辺りでいいだろう」
「全員着替えろ」
夜、真っ暗な山道の中―――
車から降りて来た男たちはそれぞれ、服を脱ぎ装備を見に付けていく。
着替え終わった彼らは、黒い布地の和装に上に、特殊部隊が着るような
ベストに身を包み、
「無線を確認しろ。あちらに連携されると厄介だ。こっちが先に、同時に叩く」
「鬼側じゃなくて運が良かったのか悪かったのか……」
「事前情報だと俺たちの方にいるのは―――
一つ目小僧、
またこの一帯に住む
場合によっては、そいつらも敵に回る事を覚悟しろ」
そして最後に暗視ゴーグルらしきものを顔にかけ、見た目は完全に
特殊部隊のような
「よし……!
全員、戦闘準備は済んだな?
長老に連絡する」
するとリーダー格の40代くらいの男が無線を取り出し、
「こちら『影』部隊―――
配置に付きました。
いつでも出撃出来ます!」
『そうか。こっちの『月』部隊も今準備を終えた。
今から15分後に行動開始じゃ。抜かるでないぞ』
無線を切ると、彼は遠くへ視線を移す。
「気付きましたか?」
「ああ、野狐だな。
我々が街から出る……いや、その前あたりか。
その時からずっと気配を感じていた。
彼らだけでも逃げてくれればいいのだが」
長老ほど好戦的ではないだけで、それなりの戦闘能力の持ち主でもある。
そして彼らはその場で座り込み、その時を待った。
「……というわけで、ここから走って10分ほどの位置に彼らは
待機しています。
十六夜一族の『影』部隊の動きを監視していた野狐の一人が、
一つ目小僧たちが集う屋敷に駆け込み、情報を伝える。
「わかった。
それと―――事が済んだら無線機を奪って欲しいと、
一応、こちらで全員捕獲するつもりだが、もし連中が落としたりしたら
その回収も頼む」
「わかりました」
人間の青年のように見える野狐は、そのまま闇の中へと走り去り、
「では、やるとしようか。
まずは
次に
頃合いを見計らって
それが終わったら
やつらが行動を開始する前に出鼻を叩く」
天然の妖怪と元人間の妖怪たちがうなずいた。