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第302話・十六夜一族VS人妖混合チーム01


「やっと到着か……

 新幹線からさらに鈍行に乗り換えて、いったい何時間かかった事やら」


「さっさと着替えて終わらせるか。訓練通りに行けばいいけどな」


夜十時を過ぎた頃―――

駅から出て来た二十名ほどの、20代~40代と思われる男性の集団は

伸びをしながら歩く。


「良いか。貴様らは十六夜いざよい一族の中でも妖力ようりょくの高い者どもじゃ。


 鬼じゃ。鬼さえ倒せば後は恐れるに足らん。

 出来れば生け捕りが良いが、そこまで甘くはあるまい。


 最悪、人間とあやかしの共存など夢物語に過ぎぬと思い知らせてやれば

 いいのだ」


その中で、最も年齢の高い長老と思われる老人の言葉にみんなは頭を下げるが、


(ったく、生け捕りだと? 簡単に言ってくれるぜ)


(その最悪がこちらの全滅だったらどうするんだよ)


(適当に一撃与えたらすぐ逃げるぞ……!)


などと心の中では毒づいていた。


「よし、まずは近付く事だ。

 レンタカーで二手に分かれて現地へ向かえ。


 人気の無い場所で装備に着替えよ。

 ワシは鬼のいる方へ行くぞ」


「「「ハッ!!」」」


長老の指示で、十六夜一族は動き始めた。




「十六夜一族らしき集団を発見しました。

 どうやらレンタカーを借りた後、二手に分かれて目白めじろ家ともう一方の

 屋敷に向かう模様です」


一方その頃、駅近くの公衆電話で通話をする青年が一人。

野狐やこの群れの監視網に引っ掛かった彼らの動きは、逐一安武やすべたちに

報告されていた。


『わかった。すぐに迎撃態勢を整えるようみんなに連絡する。


 そっちは引き続き詩音たちの指示の下動いてくれ。

 無理に戦う必要は無い』


「了解です、満浩みつひろ様!」


そして各々が、対応を取り始めた。




雲外鏡うんがいきょうさんですか? 例の連中が来ました。


 野狐たちの情報によると、長老格の人物はこちらに向かっているとの事。

 そちらもなるべく相手を捕縛ほばくしてください」


『ただ迎撃するより骨が折れるな……

 だがまあ、何とかなるだろう。


 こちらは任せて欲しい。そちらも気をつけて―――

 と、鬼がいるのに気遣いは無用か』


彼がそう言うとお互いに苦笑し、通話を終える。


「来たかのぅ」


「じゃあ、打ち合わせ通りに」


同じ室内に、鬼の舞桜まおさん(大人Ver)と琉絆空るきあさんが、


「やるっぺか」


「人数的には同じくらい、かしら」


川童かわこの銀と加奈さんが飲み物を口にし、


「有給をギリギリまで使わせてくれましたからね……

 その分は払って頂かないと」


「困った人たちだよー、ホント」


裕子さんと倉ぼっこの理奈が立ち上がり、準備に入った。



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