「反転の
たった2つしか無いのか?」
「1つは鬼に使う事が確定しているから、実質1つだな。
しかし向こうの拠点は二ヶ所、心もとないな……」
一つ目小僧たちが住んでいる家屋への襲撃計画を立てている連中が、
その準備で話し合う。
「やはり拠点1つに付き冥石は1つか」
「だが、鬼の方の拠点はさらに山奥にトレーラーハウスを持っていると
聞くぞ?
そうそう都合よく集まってくれるとは思えないし、拠点は3つと
想定した方がいいんじゃないか?」
そう話し合っている2人にもう1人が加わり、
「そういや、新たに
含まれているらしい。
そう考えると拠点は4つだな」
「先に偵察に行ったヤツの話では、電波も通っていないという事だからなあ。
ったく、人間サマが文明の利器を使えないってのはキツいぜ」
段々とグチのようになってきたところへ、老人がふらりと現れ、
「何でもかんでも機械に頼るでないわ。
だから
「ちょ、長老……!」
その人物に、周囲は一斉に頭を下げる。
「まったく、ワシが反転の冥石1つ手に入れるのにどれだけ苦労したか
わかっておるのか?
今回の件―――
―十六夜一族の浮沈がかかっておるのだ。
失敗は許されんぞ」
「し、しかし……
その妖ども、明確にこちらに敵対したわけでもありませんよね?
それで、特に若い者の士気が心配で」
1人がやんわりと消極的に、今回の計画に異議を唱えると、
「だから貴様らはダメなのだっ!!
敵対していないだと?
人間と妖は本来、
妖を滅ぼすのは息を吸って吐くがごとく当然の事だと
それを聞いた比較的年齢の若い層は、
(何だよその殺人鬼思考は……)
(あちらに取っちゃ、サイコパス以外の何者でもねぇな)
(ウチの一族が
そう思っていても口には出せず―――
彼らは黙々と準備を進めた。