「我らだけで、弥月家やその協力者たる鬼どもと戦うですと!?」
「正気ですか!?」
数日後、様子見という結論を良しとしなかった
一族の本拠地に主だったメンバーを集結させていた。
「出来ぬか?」
「
鬼、となると……困難です……!」
寂れた平野の中、場違いに豪華な日本家屋の一室で―――
長老の言葉を、1人が恐る恐る否定する。
「まあ確かに、鬼はどうしようもあるまいの。
だがこちらには『切り札』がある」
「と言われますと?」
聞き返す者に対し、その老人は水晶玉のような物を取り出す。
「それは?」
「反転の
どのような妖怪であれ、
「封じる……ではないのですか?」
その疑問を呈する言葉に老人は続けて、
「妖力封じの腕輪はあるがな、弥月家が数個所持しているだけだ。
あいにく我ら十六夜一族にはこれしか無い」
「反転、と申されましたが―――効果のほどは」
次の問いに老人は口元を
「これはの。妖力が強ければ強いほど威力を発揮するのよ。
全盛期の力を、最も弱まっている時に……逆もまた然り。
強ければ弱くなり、弱ければ強い時に戻る。
だから鬼くらい強力な妖怪ほど、これは効果的だ」
それを聞いた一族の面々は顔を見合わせ、
「それならば勝機はある―――か?」
「鬼さえ何とか出来るだけでもだいぶ違うぞ」
「では、河童や
主力をぶつけて……!」
そうして彼らは反転の冥石を元に戦略を立て始めるが―――
あの偵察に参加した若者だけは、黙って話を聞いていた。