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第292話・対応03


「来たか、お前たち」


「ではさっそく報告を聞かせてもらおうか……

 まずは風道ふうどうのところの若いのからじゃ」


とある地方、閑静な田舎の風景が広がる屋敷―――

その大広間に、古めかしい衣装をまとった老人たちが座り、


その前に現代風の洋服を着た若者が3人、土下座するように

頭を下げていた。


「ではまず、自分からで……」


彼らは東北の目白めじろ家を始め、人外たちを調べていた

メンバーで、


包み隠さず、その時の状況を説明し始めた。




「助けられた、とな」


「はい。どうも日射病にかかったようでして。

 気が付いたら安武やすべさんという方の家で介抱されておりました」


調査対象に助けられたというのは想定外だったようで、長老たちは

顔を見合わせるが、


おぼろの若いの、それは本当か?」


「ええ、レンタカーを借りていく事も考えたのですが―――

 田舎でしたし、中途半端なところに停めたら却って疑われるのではないかと

 思いまして」


都合の良いように話を作り変えて彼らは話す。


「まったく、これだから今の若いものは。

 暑さごときにやられるとは何事か」


「だからこそ、弥月みつき家に好き勝手に動かれるのよ」


「まあよい。それでどうなったのだ?

 十六夜いざよいの若いの」


そこで最後の1人が頭を上げ、


「はっ。鬼、川童かわこ、倉ぼっことその家で会いました。

 事前情報通り、その全てに人間の恋人がおりまして。


 都会の人間が珍しかったのか、普段の仕事から生活の状況まで、

 向こうから話してくれましたよ」


そこで、長老と若い者たちの対角線上にいた司会役と思われる男が、


「人と自然に暮らしていたというのか?

 だがそれは恋人同士、縁で結ばれた者たちだからという事であろう。


 実際に……

 それ以外の人間との付き合いはどうだったのだ?」


すると最初に報告を命じられた風道の若者が、


「それについてもござります。

 実はその後、彼らの中の1人が働いているという旅館で

 一泊しまして―――」


そして彼らの報告は続けられた。




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