「はあ、はい……いえ、もしそうでしたらいろいろと面倒な事に
なるでしょう」
俺は会社からの電話に説明を求められていた。釈明というほどではないが、
何でも俺が社に黙って副業をしているというタレコミがあったのだという。
『やっぱり君のお兄さんかなあ?
いや、ウチとしても彼の言う事は信用していないからね。
いろいろ前科があるし―――』
上司にあたる人がやや困惑しながら対応し、申し訳ない気持ちになる。
アイツ……
『
迷惑をかけやがる事があった。
『こっちで対応出来たら良かったんだけど、総務に直接電話が
あったらしくて―――
ちょっと面倒な事になってしまった。
後はこっちで処理しておくから。だけどお兄さん、本当にどうにか
ならないかねえ』
「大変申し訳ありません」
『いや責めているわけじゃないんだけどね。
そういう身内がいると、いろいろと、ねえ』
「すいません……」
俺はペコペコとスマホを持ったまま頭を下げると、そこで通話を終えた。
ふぅ、と大きくため息をつく。
本当に
人の足を引っ張る事には長けていやがる。
「ミツー、どうしたの?」
「そろそろ『
「もう獲物は外に出してあるだべ」
そこに人外3人組、倉ぼっこに
全員、人間の姿をしているが、
「そういえば野狐、お前の着ている服って洋服には出来ないのか?」
「出来ますけど、どうしてでしょう?」
彼女……彼が聞き返してくると、
「いや、人に見られたらと思うとな。昔の着物って結構目立つし」
すると3人組は顔を見合わせた後、笑い出し―――倉ぼっこと川童が、
「そもそも僕たち、ミツ以外の人間には見えないじゃん」
「見えない事を気にしても仕方が無いっぺよぉ。
設定忘れただべか?」
設定いうな。しかし言われてみればその通りで……
やっぱりあの
「ミツ様は洋装の方が好みですか? それならそうと言って頂ければ……」
「そういう意味じゃねぇ!!」
野狐のクネクネしたポーズを取りながらの言葉に、俺の疲れは
倍増したのだった。