「……What?! リーダーだって? おいおい、ネクマスよぉ! いつから
ある者は同意を示して頷き、またある者は己の目で見極めるべく、この小さな闖入者を静かに見据えていた。
(先輩方の洗礼だ。どうするかな、リエリー君?)
当然、ハリスは口を挟むつもりはない。これくらいのことは、自分でやり過ごしてもらわなければならない。でなければ、リーダーどころか、威療士としてやっていくのも到底、不可能だ。
今までは、彼女の
だが、その相棒は今、ここにいない。
頼りになる
文字通り、単身で乗り込んできた、というわけだ。
(五分五分だとは考えていたけど、課題はここからだね)
リエリーの“去就”には正直なところ、それほど関心を持っていなかった。才覚は認めているが、未熟な点が多すぎる。それが他の威療士の足を引っ張るようなら、それこそこちらから
救命活動は、命懸けの仕事だ。
命を救える確率が上がることなら何だってやるのと同じで、命を失う確率が上がるなら、どんな手を使っても防ぐ必要がある。
未熟な威療士を救命活動の現場へ送るということは、すなわち死に行かせるも同義。そんな指示を出すくらいなら、解雇を言い渡すくらい、造作もないことだ。
それに、
未知の動きを見せる涙幽者、〈エアー〉を始め、目的が読めない幾つもの組織、そしてまもなくここカシーゴで開催される、
その“黒幕”であり、わざわざハリスに“挨拶”するため訪れた、あの女軍人の言葉が頭を過っていた。
――レンジャーは変革の刻を迎えている。
(……これがその危機とやらなのか?)
そうであってほしいという願いと裏腹に、ハリスの直感は否定の意を示していた。
あの
より深刻な、それこそ、当人の言葉を借りれば『人類の危機』に匹敵するような、未曽有の危機。
(……まさかね)
一つだけ思い当たるものがあった。が、あまりに突拍子もない。まさにおとぎ話だ。
すぐさま頭から追い払うと、息を整えたモスグリーンの〈ユニフォーム〉が口を開くところだった。
「あたしは、リーダーじゃない」
「……どういうことか、ちゃんと説明してもらえるかな」
「ウチの……チーム〈CL〉のリーダーは、マロカ・セオークただひとりだよ。ほかのだれだって、リーダーは務まらない」
「Seriously?
「うん。あたしはリーダーじゃないけど。リーダー代理としてきた。レンジャーオーダー第15条7項、『レンジャーチームはその責任者の指名によって責任者代理を立てることができる』。でしょ? ネクサスマスター」
「その条項を適応するためには、君が言った通り責任者の意思表示が必要で――」
『――ネクサスマスター・ハリス、およびカシーゴレンジャーの仲間たちに宣言する。私、レンジャー・マロカ・セオークは、自身が責任者の責務を果たせないと客観的に判断された場合、当チームのレジデント、リエリー・セオークを私の代理としてここに指名する』
言葉尻を待たず、リエリーが自らのコンソールを高らかに掲げていた。
大ホールの中央に、この地で知らぬ者はいない茶黒い巨躯の