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Introduction XI.歴史家ウルフビョルン著『ルカリシア全史 文化史 ~概論~』より

 ……ルカリシアの文化は、極めて多様性に富むことが特徴と言えるだろう。

 二度の大戦により荒廃を極めたルカリシアだが、戦後復興に際して、世界救命基金ルフゥが『文化多様による秩序安定化』を推し進めた事実は、数々の功績においても特筆すべき点となる。

 画一化された文化は脆弱であり、時として混沌の火種となりかねないと、当時の〈評議会〉は結論付けたのである。


 この文化復古ルネサンスと称される、ルカリシア規模の事業において、絶対アブソリュート記憶メモリーと総称される個有能力ユニーカを有する者たちの活躍は、目覚ましいものがあった。

 自身の記憶のみならず、ごく一部だが、血脈に綿々と刻まれた祖先の記憶を持つ驚異的な彼らの尽力によって、ルカリシアは戦前、ひいては古代の失われた文化までもが日の目を見ることとなった。


 一方、それらの記憶には、後に禁忌指定を受けることとなるものが含まれていたことは周知の事実であり……


※註釈……本文中には現代において差別用語となる語句が含まれるが、原文のまま記載した。

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