桜の花びらがヒラヒラと落ちてゆく。
でも、ロマンチックな気持ちにはなれない。
だって、ワビュノタ島は一年中春なのだから…。
17歳のシノギはため息をついた。
太平洋に浮かぶ常春の小さな島は、資本主義に汚された。
漁場はプライベートビーチに、狩場は東洋から運ばれた桜の樹に埋め尽くされた。
全ては観光に訪れる金持ち達を楽しませる為に。
先住民たちは生きる糧を失い、観光産業で低賃金の労働を強いられる。
シノギの父親も、兄達もみなそうだった。
常春の島には、いつも桜が咲いている。美しい花も毎日見ていれば流石に飽きる……でも、シノギのため息には理由があった。
桜検定。この難しい試験に合格すれば、広大な桜園を案内するガイドの職に就ける。金持ち達が気まぐれにくれるチップは、破格だった。
ただそれには、300種類以上もある桜の名前、花言葉、原産国、系統図、それに纏わる逸話などを完璧にマスターしなければならない。
狭き門。それが桜検定……。
「シノギ!あんた桜検定受けるんだってね」
幼馴染のラクサが話しかけてきた。
「ああ、そのつもりさ」
「あんたは金の為に奴らに跪くつもり?」
民族の誇りを大切にするラクサは、外来の花を嫌い、
この島固有種のルテシイアの花をいつも髪飾りにしている。
「しょうがないさ、生きるためさ。君にもわかるだろう?」
「見損なったわ!シノギ!」
「ちょっと待ってくれ、ラクサ!君に言いたいことが……」
シノギの声はラクサには届かない。
でもシノギは島の神々に誓うのだった。必ず、必ず合格してみせると。
~FIN~
☆☆解説☆☆
え~とw。この物語は要約すると、
(ワビュノタ島に住む、シノギとラクサの恋物語の序文)なわけです。
カッコ()内をよく見てみましょう。
カタカナの部分だけを逆さまに読むと?小さいュをユに変えるの忘れないでね~。
んで、ラクサの気持ちは? ……w
な~んつ、ロマンチックな秘密は結構どこにでも転がっとるもんだすw