第5話 謝罪よりも、お礼を
シュヴァートとレヴァンのやり取りをしてから、あの出来事から3日が経った頃。
ギルド国家内にある医務室のベッドで、ロゼッタは眠っていたが目を覚まして周りを見渡そうと起き上がろうとしたが、胸などに痛みを感じて起き上がるのをやめてベッドに倒れ込む。
「いたたっ……」
「そういえば、おもいっきり蹴られたんだか何だか知らないけど……されたんだっけ?」
ロゼッタは記憶が曖昧で考えるのを止めて目を閉じては、物音がして左方を見れば遮っていたカーテンが開かれると青寄りの黒色の髪色をしたミディアムで少しボサついていて前髪が少し長めにしており、少しハイライト少なめの青色の瞳色をした切れ長な少しタレ目をして目の下には薄っすらと隈がある。
薬剤師用の服を改造して着ながらも、上着には白衣を緩く来ている青年が立ってロゼッタの方を見てから少し驚いた表情をしてから優しく笑みを浮かべていた。
「やぁ、お嬢さん?お目覚めかな?」
「あ、はい」
「全治3週間の怪我をしていたんだけど、特級の傷薬とかを使って全治1週間って所になったかな?あんまり、術式での治療ってのは患者の身体への負担もあるからしたくなくてね~ごめんね?」
「大丈夫です、逆にありがたいと思っているので!」
「ふふっ、なら良かったわ~」
「えっと……?」
「あ、ボク?ボクは、ギルド国家で“医者”のような事をしている“シャルル”ってヤツ」
シャルルは満面な笑みを浮かべてから、ロゼッタのカルテにロゼッタが目を覚ました事を書いたり付属の機械などを確認している。
「うん、バイタルの調子は大丈夫だね~良かった良かった」
「……そういえば、」
「うん?どーした?」
「カルマさんは、どうしてます?」
「あー、カルマ?そうだねー、落ち込んではいるね……自分が怪我させてしまったって」
「……そう、なんですね……やっぱり」
ロゼッタは気絶する瞬間の時に、カルマが泣きそうな困惑したかのような表情をしながらも自分の名前を必死に呼んでいたのは覚えている。
そもそも、“悪意のある霊”によって自分が憑依されて操られた事の結果だ。
(どちらかと言うと、カルマさんのせいではないのに……)
(あんな感じなのに、自己責任感が強くて優しい人………なのかもしれない)
ロゼッタが考え事をしていると、シャルルが微かに微笑んではカーテン外へと視線を向けてみれば入口には困った表情をしているカルマが立っていた。
「あの、もしもカルマさんに会ったら伝えてくれます?」
「ん?何を?」
「カルマさんのせいではないですって、これは……そのー、アタシの体質の問題が起こした事であって、逆にカルマさんに助けられたようなモノなんですよね」
「……だってよ~?だから、そんなに落ち込む必要ないってさ」
「へ???」
シャルルはロゼッタの話を聞きながらも、カーテンを最大まで開ければ入口の方まで見えるようになり入口で立っているカルマが見えた。
「あ、カルマさん」
「ロゼッタ、その、……………ごめん、怪我させてしもうて……あ、あのな!怪我、させたくなかったんよっ」
「はい、カルマさんは優しい人なんだって分かってますよ」
「ロゼッタっ……」
ロゼッタが優しく笑みを浮かべて、近寄ってきたカルマの頭を優しく撫でればカルマは涙を流していた。
「頑張った褒美、です!」
「つ~……」
(優しいのは、ロゼッタの方やでっ)
あれから2日しか経っていないが、1日中カルマがロゼッタの見舞いに来ては話をしたり抱きついたりなどをしていた。
その次の日の事だ。
ロゼッタの前には明らかに寝不足が表に出ている感じのシュヴァートが居て、シャルルが軽く笑いながらも栄養剤などをシュヴァートに処方して手渡していた。
「なぁ、ロゼッタさん」
「あ、はい?」
「最近のカルマの事なんだが、アイツは此処へと来ているのだろうか?」
「あー、昨日と一昨日も来てましたね」
「うんうん、来ていたね~」
「………そうなのか」
シュヴァートはロゼッタとシャルルの話を聞いては、その場でデッかい溜め息を放っては困った表情をしていた。
「カルマさんが、どうかしたんですか?」
「………アイツ、書類はやらないしクエストにさえも出なかったんだ……この2日間」
「えっ!?」
「そのツケを申し訳ないが、“討伐士”側に少し多めの報酬で代わりにこなしてもらっていたのだが……3日目となると、レヴァンさんにも苦言を言われると思うと胃が、な……」
どうやら、昨日と一昨日でカルマが本来やるべきの仕事がこなされておらずクエストに関しては別のメンバーもしくは“討伐士”側のメンバーにも振り分けられていたようだ。
だが、“討伐士”側にも別のクエストもあって何日もさせるわけにはいかないという。
「ロゼッタさんから、カルマに仕事をするように何となくで頼めたりしないだろうか?もしかしたら、ロゼッタさんの頼みなら仕事をする気になると思うんだが……」
「あー、どうなんでしょー…………」
ロゼッタは考えながらもシュヴァートを見れば、今にも倒れそうな顔つきで此方を見ていてロゼッタ的には“目をウルウルさせた子犬だ”と思っていたなんて、目の前にいるシュヴァート本人に言えるわけではない。
というか、こんな大きな“子犬”が居たら大人になったら“とんでもない”事になるだろう実際的の話だと。
「まぁ、ダメ元で話はしてみます……期待は、しないでくださいよー?」
「あぁ、わかった……ありがとう、ロゼッタさん」
「いえいえ~」
シュヴァートが栄養剤を持って医務室から出ていくと少しの間から、何故か窓から音もなくカルマが入ってくるとシャルルは呆れた表情をしながらもカルテの整理をしていた。
「あ、カルマさん」
「おう、今日も来たで!土産のリンゴも持ってきた!昨日、ロゼッタが食べたいって言ってたし!」
「ありがとうございますっ」
カルマはリンゴが入ったカゴをベッドの横付けテーブルに置いてから、ベッドの側にあった椅子に座ってリンゴの皮をナイフで剥いている。
「そういえば、カルマさん」
「んー」
「ちゃんと、“お仕事”してます?」
「……………してへん」
「なんで、しないんですか?シュヴァートさん達、困ってましたよ?」
「…………減るやん」
「え??」
カルマは言いにくそうにしながらも、何処となく悲しそうな表情でロゼッタを見ては顔を背けて恥ずかしそうにしていた。
「ロゼッタとの時間、少なくなるじゃん!だから、その……ちょっとでも、一緒に居たいというか……」
「……」
(此処に、顔怖な大型犬がデレてる)
「いや、それでも“お仕事”をしないとダメです!そんな、可愛い感じにしても絶対ダメ!」
「か、かわ……???」
「カルマさんは、“ギルド国家”の一員なんです!しかも、周りから頼りにされる程の実力を持っているんですよ!?なのに、たった一人の女ガキに構っていてはダメです!」
ロゼッタは心を鬼にしては、カルマへと指を向けて軽く睨むようにカルマを見ればカルマは悩むような表情をしていた。
いや、効いてない。コレは。
ちゃんと、ハッキリとカルマに伝えないといけない。
「カルマさん」
「お、おう??」
「“お仕事”をしないカルマさんは、“大っ嫌い”です!ちゃんと、“お仕事”をしないない人は“大っ嫌い”です!!」
「っ!?、だ、だい、っ、きら、いっ?」
「そうです!」
「シャルルさん!」
「あ、はい~?どうしたぁ~??」
カルマがロゼッタの“大っ嫌い”発言にショックを受けている間に、ロゼッタはシャルルを呼べばシャルルは微かに笑っていた。
「シャルルさん、あと4日か5日ですよね?退院まで」
「あー、うん」
「じゃあ、退院の日まで“面会禁止”です!ちゃんと、“お仕事”をしてください!」
「そ、そんなっ!?ロゼッタ不足で、俺死ぬって!!」
「ロゼッタ不足って………、じゃなくて!じゃあ、退院の日まで“お仕事”をちゃんとしてくれるなら………そうですね、……“一つだけ、お願いを聞く”って約束します」
「え………」
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