「それで、なぜあなたがいるのですか? 世界樹の精霊」
アイリスが見えなくなってからノア先生は一呼吸置いてからシーアさんを見る。
ノア先生は、『聖なる乙女』が『世界樹の精霊』だとわかってたんだ。
それは、あまり知られてない真実。
シーアさんは揺さぶられたダメージが大きかったのか、頭を抑えて私の肩に避難した。
「なぜ? そんなの……決まっておる。こやつに無理やり連れてこられたんじゃ」
ビシッと私を指さした。
「無理やり? タチの悪い冗談ですね。そんなの有り得ません」
「実際、ワシがここに居るのが何よりの証拠じゃよ」
「…………。本当はなんなのですか? あなたのおふざけにソフィア様を巻き込まないでください」
ノア先生は深いため息をついた。
ああ、これは。
嘘だと思ってるんだな。実際、私も有り得ないと思ってたから。
だって、私にそんな力なんてないし、技術もない。
無属性があるからって、無理やり連れてくるなんて……馬鹿げてる。
私が思うに、『偶然』が重なった結果なのかな。
そして、引っ張られた。
ノア先生はそれを見てないから、『有り得ない』『そんなはずはない』と言うんだろう。
信用されてないのが少し寂しいけど。
…………ノア先生も、私が危険人物だから見張りとしてこの屋敷に居るんだろうな。
私の魔法の先生を志願したのもそのため。
皇帝陛下に私のことを報告していたのも。
本当のことを言わないのは、私を傷つけないようにしていたんだ。
その優しさに私は甘えることはしたくないんだよね。
実際に甘えてるかもしれないんだけど。
「ソフィア様」
「は、はい!?」
ノア先生が私の方を向いて、聞いてきた。
私は急に話しかけられたから驚いて、声が裏返ってしまった。
「彼女に合わせることはありません。本当のことをおっしゃってください」
「…………」
どうしよう。本当のことを言っても信じてくれるのかな?
シーアさんが言っても信用性ないから私はもっと無さそうだし。
「あの、本当だと思います」
少し離れた距離から見守ってくれていたオリヴァーさんが近寄ってきた。
「最初は信じられなかったのですが……、二人の様子から本当だと」
「……、そうですか」
「だから言ったじゃろ!! ワシを信じぬか」
「そうは言いますけど、事ある毎に夢に入り込みイタズラしていたり、急に呼び出したと思ったら退屈だから一発芸しろと無茶ぶりさせられたり。そんなことばかりやってるから信頼なんて出来ません。ましてやまともな内容なんて一年にあるか無いかなのですよ」
ノア先生はシーアさんがしてきたことを話し出した。
溜まってたんだね。
それは信用ないかも。
「あの、『聖なる乙女』とノア先生はどういう関係なのですか?」
「師弟の関係です。私の魔法は全部、彼女に教わりました。その後、訳あってソフィア様の実の両親の元で術を磨いてました」
私は疑問に思ったことを聞いたら、ノア先生は一呼吸置いてから話し出した。
……、師弟の関係だったんだ。
なんだか想像つかないなぁ。