「風太ぁぁーーーッ!」
「あれ、一星じゃん」
きょとん、とした顔で、風太が振り返る。しかし、一星がそばへやって来ても、白河は離れようとはしなかった。一星は白河を
「おっと……。ずいぶん乱暴だね。どうかしたの?」
「どうもこうも……、こんなところで、ふたりで……。なにやってるんですか……!」
「なにって……、飲み物を選んでるんだけど?」
白河にしれっとそう返され、一星は言葉を失う。カッとなって
「お前も、ジュース買いに来たのか?」
「いや、俺は――……」
風太に
――邪魔すんなよ。
彼の目に、そう言われたような気がした。だが、ちょっと
「俺は、風太を探してたんです。家のことで、ちょっと話したいことがあったので」
「えっ、家のことってなに? なんかあったの?」
「……ちょっと、こっち来い」
一星はそう言って、風太の手を
「お、おい……! ちょっと待てって、おれ、まだジュース買ってねえんだけど!」
「そんなの、あとでいい」
「あとって……、なんでだよ! おれは今、ジュースが飲みてえんだぞ!」
「なんでも! いいから黙ってついてこい!」
「おれのジュース!」
一星はぶーぶー文句を言う風太を連れて、部室の方へ戻る。そうして、裏手に回り、その周囲に人がいないことを確認すると、手を離した。
「なんなんだよー、家の話って……。こんな所まで連れてきて、なんか、緊急なのか?」
「いや。家のことってのは、嘘だ」
「噓だぁ……? てンめえ……、なめてんのか、このやろ……」
風太は
「風太、白河先輩には気をつけたほうがいい」
そう言った瞬間。風太は余計に
「白河先輩? ……気を付けろって、なんだよ。それ、どういうこと?」
「そのまんまの意味。あの人は、お前が思ってるような人じゃない。とにかく、気を付けろ。あんまり、ふたりきりになるな」
「あぁ……? なに言ってんだ、お前……。白河先輩がなんだっつーわけ」
「……とにかく、気を付けろ。俺が言いたいことは、それだけ――」
一星はそう言って、その場を去ろうとした。だが、納得がいかないのだろう。風太は、一星の肩を
「ちょっと待てよ。いきなり気をつけろとか言われたって、わけわかんねえだろーが。ちゃんと、わかるように説明しろ」
そう言われても、今、一星の口から言えることは限られている。一星は黙り、風太から目を
「……今、説明しただろ。白河先輩には気をつけろって」
「だから、なんで! もっと、ちゃんとわかるように話せっつの!」
肩を
それだけは、嫌だ……。
なぜだろう。風太への想いを自覚してから、一星が欲張ったことなんか、一度もなかった。彼と恋人になろうとか、パートナーになりたいとか、そんな未来を想像したこともなければ、彼を独り占めしたいと思ったこともない。白河とのやり取りに
けれど、今は違う。一星はいつの間にか、強く望むようになっているのだ。風太にとって、特別な存在でありたい、彼を独り占めしたいと。風太を幸せにしたいと、
ちょっと待てよ……。もしかして、俺――……。
「一星、おい! なに黙ってんだよ、聞いてんのか?」
「あぁ……」
一星は返事をして、ぐしゃぐしゃと頭を
「そうか。俺は、ものすっごいドハマりしてるんだな……」
「は……?」
これって、