L・A・Rに適合してからずっと戦い、備えてきたからこその力の慣れ。出力・制限時間はオリジナルに劣っても力のコントロールはセレスティアの方が上だった。
「な、ならばこれならばどうですか……!!」
セレスティアにいくらヴァリアントを差し向けても無駄だと悟ったのか、ミステリオがキョウカの方にヴァリアントを
ヴァリアントの対処を彼女に任せ、極度に集中しているためキョウカは自分に迫る脅威に気付けない。
「任せろって言ったのよ……! キョウカには手を出させないわ……!」
タクトを振るうように瓦礫を飛ばすと、キョウカに近づいていたヴァリアントの排除に成功。
それでも次から次へと、キョウカとセレスティアにヴァリアントが注がれる。
「それならば、ここから先は根競べです! ストックはまだまだありますよこっちには!」
「ぐっ……! この……!」
瓦礫を飛ばし、電光を飛ばしてその身にヴァリアントは近づけさせない。燃費は抑えられているとはいえ、こうも連続で力を使えば五分ともたない。
限界の限界はもう目の前にまで迫っていた。
「ぐっ……! かはっ……!」
「あはははははは! 根競べをする間でもありませんでしたね! 遂に底がやってきましたよ!」
鼻から血を流し、喀血が口の端を汚していく。どこかの血管が切れたのか端々で血が流れ、失われていく血が痛む身体をふらつかせていく。
「どれだけの力を誇っていようとも、所詮は限界を迎えた人間ただ一人! 救えるのは自分一人だけでしょう!」
電光は小さくなり、瓦礫も地に落ちている。身を守る障壁はどんどん少なくなっていくのを見て、ミステリオはより一層苛烈にヴァリアントを差し出した。
散々削ったおかげで、追加はなさそうだがそれでも残りは十二体。弱った人間と力のない人間を腐食させるには十分だ。
力が抜け、跪いてしまうセレスティア。それでも彼女の笑みは消えない。
「……そうね。でも、私はもう独りじゃないのよ……! ——いるんでしょう、キソラ!」
「当ったり前だよティア!」
希望の声に応じて、穴の開いた天井からキソラが降って来る。
そのままキョウカの前に降り立つと、右前蹴りと共に炎が拡散。キョウカに襲い掛かったヴァリアント九体全てを燃やし尽くした。
「まったく、無茶ばっかりしちゃって。私がいなかったらどうなっていたことか」
「来てくれると信じてたのよ。ありがとうキソラ」
「それはどういたしまして!」
次いで、セレスティアの前に立つと同時に左脚で炎を噴射。二体を一瞬にして燃やし尽くす。
橙色の炎に照らされるキソラ。キソラの身体は一目見ただけでもボロボロだ。右腕は焦げてまともに動かず、左腕に至っては存在していない。炎を二度噴射しただけで、肩で息をする惨状だ。
それを見て、セレスティアの心がキソラの炎に充てられたように熱く燃え滾る。
偉大な父の背を負い、世界を救える可能性の力を手に入れ、反政府組織をその小さな背中で率いていたセレスティア。しかし、それはもう過去の話だ。
今は同じ目線で、同等以上の力を持った
「もう、私は独りじゃない——」
温かくなった心が、気力を取り戻してくれる。笑顔になったアステリアが立ち上がる。
満身創痍の少女が二人。ヴァリアントがいなくなろうとも、軽く押せば倒れそうな二人なのにミステリオは怖気づいて後ずさる。
「あ、貴女……。そんな状態でなぜまだ……。い、痛くないのですか……!」
「そりゃ、痛いよ。腕は無いし、頭は針が突き刺さったように激痛が走ってる。『弟』や『妹』をこの手で殺したことも、心が痛いよ。でもね、それで足を止めたらここまでやって来た全部が無駄になるじゃん」
「人はさ、前を向こうと決めたらあればいくらでも動けるんだよ。少なくとも前を見ることをやめた人とか機械のようにしか動けない奴なんかに私たちは負けないんだよ!」
ミステリオの傍にいた最後の一体を燃やし、残るはミステリオのみ。
散々ズタボロにされ、心身ともに傷が残った戦いもこれで終わりだ。
決着はセレスティアの手で。そう言わんばかりに、笑顔のキソラがかろうじて動く右手で彼女の背中を押す。
「さぁ最後の時間だよ、ティア。やっちゃって!!」
ゆっくりと、セレスティアが前へと進む。
右手に、残った
「く、来るな……! わ、我が輩を殺せば世界の損失! C機関だって貴様たちを本気で消しにかかるぞ!」
「それがどうしたのよ。ずっと言ってるでしょう? そんなのはもう覚悟の上なのよ。だから、アンタの役目はもう終わり。ここで消え失せなさい!」
最後の力を振り絞り、赫い電光の手刀がミステリオの胴体を貫いた。
「ぐあああああああ……!!」
胴体から右腕を引っこ抜くと、血を払うように右手を振るう。
どちゃりと、ミステリオは地に
「すぐには死なせない。アンタには希望に満ちていく世界を見せてあげる。それがアンタにとっての絶望でしょうからね」