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第16話 六条御息所

「太一様遅いです」


学校前に車が止まっていた、恐らく連絡をした時には既に此処にいたのだろう


「悪いな、気が進まなくて足が遅くなった気分だ」


「重要な書類ですから」


「見せろ」


「何言ってるんですか、書類を持ち出す事は出来ません」


「家に行く気はないぞ」


「分かってます、なので禁錮室へ」


「あそこかー、湿っぽくて嫌なんだよな」


「我儘言わないでください、これでも結構急ピッチで動いたんですから」


「分かってるよ」


「行きますからね」


「はいはい」


車を出す、禁錮室とは国が管理している書類などを保管している部屋なのだがそこに入るには国の上層部か皇族以外立ち入る事は許されないが安部家の人間だけは立ち入る事を許されている


「それでどこまで分かった?」


「直接は分からないのですが安倍晴明の死因などこないだ言っていた周囲に影響を及ぼす程の怨霊を封じる為に何人もの陰陽師が当時亡くなったと」


「そこまでよく分かったな」


「もしかしてご存知だったのですか?」


「まあ」


「なんで話してくれなかったんですか!!」


「訳があってな」


「訳ってなんですか」


「今回の書物を見るために相当な無茶をしたのか?」


「話をそらさないで下さい」


「分かったよ、報酬として話すよ」


「報酬って」


「九尾と話した」


「え?」


「それで大体の日本の歴史の話は聞いた」


「なんで黙ってたんですか」


「これを話したら俺は今のままでは居られない」


「だからって」


「それより今は九尾の話以外に禁錮室で何が見れるかな」


「私には九尾との話は聞けないのでしょうか?」


「黙ってくれるか?」


「ご命令でしたら墓持っていきます」


「分かった、禁錮室につくまでだ」


「はい」


「安倍晴明の死因は周囲に影響を及ぼす程の怨霊、六条御息所を自身の寿命を使い封印した。だがそれはいくら安倍晴明とは言え千年が限度だその時期が経てば結界なんて持つことはない。だから戦争が激化した時代に結界は一度破られた」


「じゃあその時の陰陽師はどうしたんですか?」


「当時の安部家の当主を含めて多くの実力者が命を落としその生命力で再び結界を施したが安倍晴明のような陰陽師は現れないだから当時は相当な被害が出たが当時は戦争末期。それだけで言い訳は幾らでも思い付くし今に受け継がれてないとなるとそれぞれに話は語られても段々現実味が無くなり時の政府によってもみ消された事もあったのだろう」


「そんなことが」


「多くの人間が犠牲になった、だが今回結界が破られたかもしれないのは六条御息所の力だけじゃないかもしれない」


「どういう事ですか?」


「話はここまでだ」


「分かりました」


気付けば禁錮室の場所についていた、幾ら健二が安部家の人間とはいえ使用人である事に変わりはない、だから俺は一人で禁錮室に向かう。


道中多くの厳重な警備がありそれだけで疲れてしまう。でもそれでも禁錮室に行かないといけない、実際俺は禁錮室に行く事は初めましてだったのでどんな書物があるのか分からなかったが今回は戦争時の言い訳は通用しないそれに現代に事が起これば拡散が早いこの時代では政府も隠し事が出来ず陰陽師が今も裏で動いていることがばれるだけならいいのだが六条御息所の結界が人為的に破られたのだとすると尚更だ。


そんな事を考えながら禁錮室に続く長い道を歩いて行った。



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