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第14話 モリオン

「東京帰ってきた!!」


「そんなに時間経ってないだろ」


「一日も離れてたら懐かしくなるよ」


「そういうもんか?」


「そういうもん」


「車で俺らを迎えに来てるからそっち行くか」


「そうなの?」


「うん」


少し歩いて駅を出ると健二が立っていた


「お帰りなさいませ」


「うん」


「誰?安部君のお兄さん?」


「ご挨拶が遅れました、初めまして。私は太一様の執事をしていまる。健二と申します」


「執事!!」


「では、車の中で。冷房が効いていますので」


ドアを開けてもらい中に入ってら涼しくドアを閉めてもらった。執事を雇っているなんてお金持ちなんだなと思った


「安部君ってぼんぼん?」


「そう言う言い方はよせ。それに俺を安部と呼ぶな」


「だめなの?」


「好きじゃないだけだ」


「そうなんだ、じゃあ私の事も沙耶でいいよ。」


「分かった」


「所で太一君って陰陽師の家出身だよんね?」


「ああ」


「昔から幽霊とか見えたの?」


「まあな」


「怖かったりしないの?」


「もう慣れたが三才くらいの時までは怖かったが爺に式神とか色々見せられて怖いだけじゃないって教えられた。それに俺には怨霊よりも怖い事がある」


「怖い事?」


「人を救える力があると知っていながら行動できない事だ」


「そうなんだ」


「助ける事が出来できない時はある力があっても知恵があっても。大事なのは何があっても助ける事は出来ると信じて動く事だ」


「なんだかかっこいいな」


「私もそうなれたらいいな」


「難しいが俺がいる所では誰も死なせない、でも俺になにかあった時は頼むよ」


「任せてよ、ちゃんと助けるから」


「頼りないけどな」


車で三十分位経った所で沙耶の家に着いた


「じゃあ私は此処で」


車を降りて行こうとする沙耶を呼び止めた


「ああ、ちょっと待った」


「なに?」


「これ持ってけ」


「何これ?石?」


「これはモリオンと言ってとても強力な魔よけの石だ」


「いいよ、大丈夫」


「結界で守ってたとは言え近くで強い怨霊の氣を受けたんだ、無事だとは言え何もないとは言い切れない。怨霊の持つ氣を受ければそれに伴って他の怨霊に狙われる事もある」


「分かった、ありがとう」


「それじゃ明日学校で」


「うん」




車に戻った


「あのお方が小鳥遊グループの令嬢ですか」


「ああ」


「そう言えば青森の怨霊は解決しましたか?」


「まあ解決したのはしたが厳密に言うと解決したのは山背家の人間だ」


「山背健様でしょうか?」


「そうだけど」


「山背家の当主様が動いたとなると相当厄介な相手だったのですね」


「あいつ当主だったのか」


「知らなかったのですか?」


「あんなちゃらんぽらんでも務まるものとかな」


「実力は確かですからね」


「まあそうだったな」


「粗相はなかったですか?」


「なくはなかったけど」


「時期当主のお話をお忘れで?」


「その話はしない約束じゃなかったか?」


「申し訳ございません、ですが私は」


「お前の気持ちは分かるだが俺じゃなくても務まるものだ」


「そうですか」


「そう言えば綾は元気か?」


「ええ、昨日様子を見たら元気そうにしてましたし太一様に会いたいと」


「俺に?」


「ええ、なんでも会って話がしたいと」


「そうか」


「それに心配なら会いに行くのもいいと思います」


「あの家に帰りたくはない」


「では今度内に来てもらいましょうか」


「そうしてくれ」


「はい」




家に帰ってソファーでくつろいでいるとお風呂が沸いてるので入れと言われてしまった。


お風呂に入ると式神が出てきた


「太一よ」


「なんだ?」


「まだわしの事を周りに話してくれんのか?」


「お前を召喚し自立させる事が知られれば俺は今の生活ができなくなるただでさ水龍を操れるようになっただけでもあんなに騒がれたのに」


「そうか、確かに晴明様に仕えた後にわしはその後誰にも使役させることはしなかったからな」


「それが問題なんだ、お前が口を開くと歴史が変わってしまう」


「そうの、ではいつか人間と話せるのを楽しみにしておるわ」


「そうしてくれ」




風呂から出たら丁度健二が夕食を作ってくれていた


「ご夕食が出来ましたのでどうですか?」


「頂くよ」


「どうぞ」


「いただきます」




夕食を食べ終えてくつろいでいた


「今ココアを淹れますね」


「頼む」


小説を読んでいるが実はあんまり内容が入ってこない


「どうぞ」


「ありがとう」


「その様子だとゆっくりできていない様子ですね」


「分かるか」


「まあ」


「怨霊ですか」


「ああ、あの怨霊なにかあると思ってな」


「それはどういう事でしょうか?


「何か今までの怨霊とは違う氣がしてな」


「では叔父様に相談をなされたらどうですか?」


「あんまり気は進まないんだけどな」


「でももし太一様の予想が当たればまずいのでは」


「まあそうかもな」


俺は携帯をとって爺に電話した


「どうした?」


「青森に怨霊なんだけど」


「おお」


「なんか今までと違う氣が感じたんだがなにか分かるか?」


「何か違うと言われてもな」


「そうだよな」


「そう言えば関係あるか分からんが最近悪霊化から怨霊化するケースが増えた気がするな」


「いつ頃?」


「あ」


急に大声を出して耳が痛くなった


「なんだよ、急にでかい声を出すな」


「悪い悪い、でも青森の怨霊が確認された時期と各地で怨霊化した時期が重なっている可能性が出てきた」


「なんで言わなかったんだよ」


「まだ確証が無かったが山背のとこの当主から連絡がさっききてなその話をしてたんだよ」


「そうか、多分あの怨霊は他の悪霊、幽霊を怨霊にする力があったのかもしれないと」


「まあそうなるな」


「え?」


健二が思わず声を出す


「でもそんな話聞いた事ないぞ」


「記録では百年周期で何体か現れた記述があるって古い本で見たことがあるな」


「それじゃあ戦争と陰陽師が活躍した時代か」


「そうなるな」


「でもなんで今?」


「分からない、俺も人を使って調べてもらうわ」


「じゃあ何かあったら連絡頼む」


「分かった」


電話を切って健二を見ると話を聞かせろと言う顔をしていた


「そんな顔するな話すから」


「お願いします」


「まあまだ何も分からないがとても強力な怨霊で周囲に影響を及ぼす可能性があるってだけだ」


「小鳥遊の令嬢にモリオンの石を渡したのは正解でしたね」


「そうだな」


「今日はもう寝る」


「はい、おやすみなさいませ」




部屋に入ってベットに寝転がっていると風呂で出てきた式神が出てくる


「わしの事考えてたのだろう?」


「まあな」


「そりゃそうだろうね」


「教えろ晴明の時代そして戦争の時代に周囲に影響を及ぼす程の怨霊とはどんなものだ」


「では教えよう晴明さまに仕えたわし、九尾が」

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