目次
ブックマーク
応援する
いいね!
コメント
シェア
通報
第10話 想い出

「お婆ちゃん、久しぶり!!」


そう言って小鳥遊は先ほどの暗い顔から何もなかったかのような笑顔で叔母とリビングに座り話をし始めたそう思った瞬間に僕の方を見た小鳥遊の叔母は僕に話かけた


「貴方は沙耶ちゃんの彼氏さんかい?」


「ちょっとお婆ちゃん、そうじゃないからそれにこんな人タイプじゃないから」


否定するのは正しいのでいいのだがちょっと言い過ぎではなかろうか


「そうのかい?まあ今お茶淹れるから座って待ってて」


そう言われてたので小鳥遊の隣に座った


「元気なお婆ちゃんだな」


「うん今年八十八歳なんだけどね」


その割には随分と若く見えた、小鳥遊も童顔だと思ってたから遺伝なのかもしれない


「去年まで入院もした事も病気した事もなかったお爺ちゃんが急に亡くなっちゃったから当たり前だけど当時は相当落ち込んだみたいだけど今は大丈夫そうね」


「そうか」


そうこうしてるとお茶が入った湯呑みを僕達に持ってきた


「此処まで遠かったでしょ、、ゆっくり休みな」


「ありがとうございます、いただきます」


お茶を啜りながら小鳥遊達の話を聞く、久しぶりに会ったのだろう学校の事や家の話をし始めたこれはあまり聞いて良いのものではないと縁側に座った。綺麗に手入れされ殆ど雑草もなく庭は大きな一本の木が立っていた


「貴方は沙耶ちゃんとお友達なのかしら?」


急に話かけられたのでびっくりした、さっきまで小鳥遊と話してたのにいつの間にか僕の隣に座った


「友達と言うかただの同級生です。」


「ほら言ったでしょ」


そう言った小鳥遊の方を見ると呆れた顔をしていた。好きで此処まできた訳じゃないのでこっちこそと言う顔をしてやった。


まあ色々と聞きたい事があったので丁度良いと口を開いた


「あの小鳥遊の叔父の事を聞きたいのですが」


「ああそれなら沙耶ちゃんから聞いてるよ」


そう言ってテーブルから写真を見せてきた


「これが俊之さんだよ」


俊之と言うのかとても怨霊になるなんて思えない優しい顔をしていた


「優しそうですね」


「そうなのいつも人の顔色を伺って動いてた、けど大切の人の為ならその人の為に必死に動く本当に優しい人だったわ」


「そうですか、誰かと揉めてたとかあります?」


「んーそうねー私がしるかぎりそう言うのはなかったと思うけど」


誰かと何らかの憎しみがないと怨霊になんてならないし家で見つけた古い文献にもそう書いてあったのにそれではよく分からない。そもそも小鳥遊の叔父が怨霊なのかもまだ決まった訳ではないからまだ不確定要素が多すぎる。


「生前叔父さんが好きだった場所はありますか?」


少しの考えて思い出したのかまるで思い出の中にいるかのように笑いながら話し始めた


「思い出なら此処から少し離れた場所のにあるそこにある銀杏の木が生えてる場所かしら。そこで結婚しようって言ってくれたのよ」


そこなら小鳥遊の叔父が居る可能性がでかいかもしれない。もっと詳しく話しを聞こうとしたら小鳥遊の叔母から馴れ初めから話し始めた。


「私は高校卒業式して直ぐに東京の会社の就職して会社の受付業務をしてたんだけどそこに会議をしにきた俊之さんに一目惚れされたんだけど最初は周りから相当反対されたらしくてデートしたくても表立って会うことができなくてね、まあただの受付業務の人間と小鳥遊グループの次期社長が結ばれる事じたい難しいのよ」


すらすらととても笑えるとは言えないそう言う界隈の人間の常識に対して話しをしても叔母さんから笑顔がなくなる事はなかった。


「でも俊之さんには許嫁がいて最初から誰と結婚するか決められてた、だけどあの人は諦めなかった。遂には会社を辞めるだなんて言い出してお父さんからしたらとんでもない事だったでしょうねあの人仕事が出来たし人望があったし私は後から聞いたんだけど俊之さんが会社を辞めるって事になったら大勢の部下も辞めて俊之さんに付いて行くなんて事になってたみたいだし俊之さんはその後お父さんに許可をもらって許嫁の人にちゃんと話して納得させたんだから本当に凄い人だったよ」


話しを聞いて小鳥遊の叔父さんと叔母さんはちゃんと愛し合っていたんだなと自分もいつかそんな月並みな幸せが訪れる事に期待しようと思った。


だが話を聞けば聞く程に今回の事象に疑問が沸いてくる。取りあえず祖父ちゃんに聞こうと携帯を持って玄関を出た



コメント(0)
この作品に、最初のコメントを書いてみませんか?