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第3話 繕い

「ねぇ、依頼受けてくれるんじゃなかったの?」


小鳥遊が急に大声を出したと思ったらそう言い出した。


うるさいので無視することにした。


「無視しないで~」


まるで子供のように駄々をこねるように言い出し始めた、なんとも吐き気が催すが無視するとますます悪化しそうなのでしょうがなく少しだけ付き合うことにした。


確かに依頼を受けてから三日は経つ怒るのも分かるが。


「うるさい、だいたい依頼受けるって言ったけどすぐ動くとは言ってない」


「そんな偏屈じみたこと言ってないでさ~あ~」


「だいたい俺は今忙しい」


「何が忙しいだよ、本読んでるだけじゃんそれのどこが忙しいのよ」


ムスっと頬を膨らましてこっちを向いてくる、なんともあざといことか、だが少し可愛いなんてことを思ってしまう自分もいるほんの少しだけだが。


「って言うかなんでお前が此処にいるんだよ」


「良いじゃん、しかも私この超常現象部入ったし」


ん、今なんか言ったなこいつなんで勝手に入っている事になっているんだ?


「だいたいなによ超常現象部ってアニメとかドラマじゃあるまいし、安倍君そう言うの好きなの?」


「俺は別に好きとかじゃない」


「じゃあなんで入ってるのよ」


「去年卒業した従兄弟に俺が此処の高校に入るって言ったらこの部活に入ってくれって懇願されたの」


そう俺は元々部活なんて入るつもりなかったのに従兄弟が高校一年の時幽霊部員でも良いから仲の良い友達に名前だけ強制的に書かせて強引に三人を集めて立ち上げた部活。結局三年間従兄弟だけが活動していたが俺も半強制的にこの部活に入らされた、それも従兄弟が卒業してしまったら誰も入らないだろうと先生に、来年誰も新入生や誰も入らなかったら部活を潰すと言われていた為俺にその矛先が向いたというわけだ。


まあどうせ三年間誰も入らないだろうから部室はお前一人のものだと言われたのと返し切れない程の恩だと思えと逆に脅してやった。さてとこの恩をどうやって返してもらおうかと笑いがこみ上げそうになるのを我慢しつつこの詳細を小鳥遊に説明したら「ふ~ん」となんかつまんなそうに気の抜けた声で返してきたのでむかついて来たが聞きたかった事を思い出した。


「っと言うかなぜお前が部活に入ってんだよ」


「良いじゃん、なんか楽しそうだし依頼とか幽霊的なこと話すのだったらこういう二人になれる空間は必要でしょ?」


確かに一理ある、ただそれなら放課後に皆が帰った後に教室で集まるでも良い気がしたがこれについては気にしたら負けだと悟った。


「顧問の先生もいい人だったし入って正解だったよ」


「あの人は基本部活動に介入してこないし部室にも用がないとこないからまあこっちとしてはありがたい限りだが」


「あ、そうだ私お菓子持ってきたんだ食べる?」


「気が利くじゃないか、ついでに茶も頼む」


「本当に君はお茶くらい自分でやりなよ、って言うか自販機で買ってきなよ、しかもお茶のことを茶なんておじさんじゃないんだから(笑)」


「小鳥遊今のは俺が喋った訳じゃないから俺をおじさんなんて言うのはやめろ」


一瞬いやまるで時が長く止まったかのようにフリーズする小鳥遊だが俺からすれば一、二秒の事だ。


「は、安倍君じゃなかったら誰が喋ったっていうのよ、やめてよ」


まだ悪霊に襲われたのが心に残っているのか顔色が少し悪くなった。


声がする方へ俺が指を指すと、空いてる椅子にちょこんと座っている犬が居た。

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