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第3話:魂魄界からの帰還

 私にもやる事はまだあった、この青白いオーラが書き消える前に車列の中心まで歩いて行き確認する。


 まだ魔法陣は輝きを失っておらず、その中心に宝石の先端が有った。


 その中心目掛けて、刀を垂直に突きこんだ。


 その瞬間、魔法陣が輝きを失うとともに嫌な音がした。



“ギギィィーィィッ!! ガシャパリン!!”



 と何かが悲鳴を上げて砕ける音がした、確かに宝石も砕けてはいる。


 その瞬間私と『ウィーゼル』は現世へと帰還きかんしたのである。


 『ウィーゼル』があれ? といった。


 今まで、殴り続けていたものが消えていたのである。


「『ウィオラ』、大丈夫?」と『セリア』からいわれ気が付く、『ウィーゼル』のほうを見あげると『ウィーゼル』が元気そうに手を振っていた。


 向こうも、無事帰還できたらしい。


「一応、大丈夫」といいながら。


「何か見えてた?」と聞いて地面から刀を抜いて納刀した。



 『セリア』によると、あの後頭痛がしなくなったので外に出ると私と『ウィーゼル』が影状の相手と戦っているのが見えてはいたらしい。


 だが、触れず援護できずどうした物かと思案していたそうであった。


 いきなり地面が削れたり、いきなり凹んだ箇所ができたりと大変だったらしい。


「要するに戦いの爪痕つめあとだけが現世に影響していたのか、厄介やっかいな」と私がいった。


「相手が何であれ、全力は変わりませんから」と私がいったのは良かったが、立ちあがれない程疲労していたらしい。


 スルスルと『ウィーゼル』が、下りてきた。


 『ゲルハート』がいった「『ウィーゼル』、今までどこに居たんだ?」とそれに『ウィーゼル』が答えた、「酒場の屋根の上で、ヒトでないモノと格闘してたんだが。アレが、鏡の国の世界ってやつか?」、それに私が答えた「多分、そうでしょうね。術者のお相手、ありがとうございました。そのおかげで、だいぶこちらは騎士に集中できましたし」と私がいった。


「問題は力が抜けて、立てないのです。久しぶりの異界戦闘でしたから、体がまいってるのだと思いますが」と私が続けた。


「手を貸しましょう、立ちあがれますか」と『セリア』がいったので、手を借りて立ちあがる事にした。


「よっこいせ」と立ち上がるが、まだ足に来ているらしくふらついてしまう。


「さすがに今回は、報酬っぽい物は無しか」と『ウィーゼル』がいった。


「二束三文ですが無いことは無いですよ? そこに砕けてますが大振りの宝石が埋まってますから、掘り出せればですが」と私がいった。


「多分、召喚石の一種かと。行くところに行けば、それなりの値段にはなるでしょう」私が続けた。


「それなりって?」と『ウィーゼル』が聞いた。「宝石屋に持っていけば三百シルズくらいにはなるかと思いますが、私の鑑定眼ではそんなに高くは無いと言ってますが。迷惑料と犯罪ほう助の罪で、チャラかと。ですよね、村長殿。私たちを巻き込んで、只で済むとは思って無いでしょうね。私たちは命がかかったんですからチャラと行きたいのですが、それでも払えというのでしたらそこにある宝石をどうにかすればよいでしょう。まあ貴方が宝石屋に持って行って、勝手に捕まるのは勝手ですけどもね。ああ、引き取ってくれというのは無しですよ。自分で、何とかなさい!!」と私が、村長に向かって厳しくいった。


 私はそのままプイっと五号車の方へ向かってフラフラとした足取りだが、しっかりと五号車には乗り込んだ。


「魔法の宝石をただの宝石だといって売ると、国にも寄りますが重犯罪になることがあるんです。しかも今回は得体のしれない国への案内切符付き、ギルドへ持ってても処分料を取られるだけですよ。しかも、犯罪ほう助のおまけつき。古代語魔法の高位のモノの中にはあるのです。その物に起こったことが分かる、と言う魔法があるんですから。私が怒っているのは、得体のしれない宝石を多分百シルズも掛けずに埋め込ませた村長に対して怒っているだけで。みんなを攻めているわけでは、無いですよ」とは私はいっておいた。


「明らかに罠じゃないですか、この車列がここを通ることを事前に知っている者の罠です。でなければ、説明のつかないことが多すぎます。私はやっぱり、怒っているように見えますか?」と私がいう、そして続けた「『キルヒャ』さんもこのことは村長から逆に、請求できる立場にありますからね迷惑料を」と『キルヒャ』がそっとのぞいていることを指すわけでは有るが。


「まぁ確かに、一理ありますよね」と『セリア』がこちら側に回った、『ウィーゼル』も「確かにな。事前に、用意して居なきゃ無理だ」と同意する。


『ゲルハート』がいった。


「確かにそうだが、他のパーティーの様子はどうだったんだ『キルヒャ』さん?」、『キルヒャ』が五号車の後ろに座った「確かに今回は、村長を厳しく問いたださないとこれからも狙われるかもしれませんね。危惧きぐすべき問題で、改善点を出さなければいけない問題だと見ます。では、私が依頼主の代表でもある事ですしビシッと言って来ます」といって村長のほうへ歩いて行った。


「私の名前は、『キルヒャ・ミカエル』知って御出ででしょう。ですがなぜ、今回だけこの様なことをしたんですか? ことと次第によっては村長、貴方を指名手配します」、村長が答えた「幸せな気分になれる宝石だから埋めさせてくれっていわれたんだ、五百シルズくれるって言うから」、「では迷惑料として、千シルズ請求いたします。期日までに支払われない場合、貴方をひっくくって引っ立てます。期日は今日、我々がここを立つまでです。我々は十二時までには出ますが、それまでに支払われない場合、貴方を問答無用で襲ってでも引括ひっくくらせてもらいます。もし抵抗する者が現れても、一緒に村長と同じ罪で告訴します。以上!!」と『キルヒャ』は村中に響き渡る様な大声で叫んだ。


 そして五号車に戻って来た「少しは、気が晴れましたか? 商会で二百シルズ、残りの八百シルズは五号車の冒険者の皆さまでお分け下さい」と『キルヒャ』は、いう「わかりました。それで、手を打ちましょう!」と『セリア』が代わりに答えてくれた。


 私はその時、半分程眠りの中にいた『セリア』に抱かれながら。



◆ 俺『ウィーゼル』視点


 俺がいう「今日のウィオラは、迫力があったな。真空刃に属性乗せて切ってたし、ハジンていうのか破術みたいなのとシースルーって言うのまで使ってたぜ」といった。


「少しだけ見た事があるので知っているのですけれども、それ四ランクと五ランクと六ランク二つですわよ?」と『セリア』がいった。


 そして続けた「そこまでさせたんですね、私が不甲斐無いばかりに……」と『セリア』がいう、『ゲルハート』がフォローに回った「色々試したじゃぁないか」と。


 俺は絶句していた……復帰すると「俺もまだまだだな『ウィオラ』に負けてるようじゃ年のこうとか言えねぇ」、『ゲルハート』がいった「それでいうと一番不甲斐無いのは俺だぜ、物理的にしか干渉できないもんだから。魔剣でも持って来ないと今日みたいなの相手じゃ」、それに対して俺は『ゲルハート』の肩を優しく叩きフォローを入れた。

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